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動画制作で知っておくべき著作権!基礎知識から対策まで

動画を制作する上で、著作権は避けては通れないテーマです。

しかし、著作権について理解しているか?と問われると「正直、あまり自信がない…。」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

インターネット上には、膨大な量の動画がアップロードされています。
残念ながら、中には著作権を侵害しているものも見受けられるのが現状です。

一方で、著作権侵害の取締まりは年々、厳しくなっています。

著作権を侵害した場合、動画が公開停止になるのは序の口で、厳しい処遇の場合はアカウントを凍結されてしまったり、最悪、訴訟問題や刑罰対象に発展したりすることもあります。

「知らなかった」では済まされないのが著作権です。

この記事では、動画クリエイターの方や、動画制作を外部発注される企業の方に向けて著作権の基礎知識から、著作権を侵害しないための具体的な対処方法まで紹介します。

動画制作における著作権

以下、著作権という法律について、動画制作をする上でのポイントに絞って説明します。

そもそも著作権とは?


著作権とは、著作権者の利益が不当に害されないよう、著作物の利用を許諾したり禁止したりする権利です。

著作権は、著作物が創られた時点で、自動的に著作者へ付与されます。
つまり、特許のような申請手続が存在しません。

原則として、他人の著作物は、著作権者に無断で利用することができません
他人の著作物を利用するには、次の4つの方法で権限を取得することができます。

  1. 著作権者から著作物の利用について許諾を受ける。
  2.  出版権の設定を受ける。
  3.  著作権の譲渡を受ける。
  4. 文化庁長官の裁定を受ける。

最もシンプルな取得方法は①で、これは口頭であっても成立します

しかし、後々問題が生じないよう、著作物の利用方法・期間・料金・支払い期日などの条件を文書上で可能な限り、明確にしておくのが望ましい方法です。

なお、例外的に、著作権者の許諾を得ずに利用して良いケースも存在します。そのひとつに「引用」があります。

動画を制作する上でも、著作物から引用することがあると思いますので、覚えておきましょう。

参照:文化庁 著作権制度の概要

著作物の定義

以下の事項を全て満たすものであれば、著作物として保護の対象です

  1. 「思想又は感情」を表現したものであること
  2. 思想又は感情を「表現したもの」であること
  3. 思想又は感情を「創作的」に表現したものであること
  4. 「文芸,学術,美術又は音楽の範囲」に属するものであること

著作物の具体例:小説、音楽、美術、映画、コンピュータプログラム等
著作物に該当しない例:単なるデータ、アイデア、他人の作品の模倣、工業製品等

動画も、上記事項を満たす場合は、著作物として著作権保護の対象です
以下、当ページでは動画を著作物として扱います。

参照:文化庁 著作権制度の概要

著作者と著作権者の定義

著作物を創作した人のことを、著作者と言います。
創作活動を職業としていなくても、絵を描いたり、動画を制作したりすれば、その人が著作者です。

著作権を持つ人のことを、著作権者と言います。
著作権は他人に譲渡ができるため、著作者と著作権者の微妙な違いを理解しておきましょう。

個人ではなく、著作者が所属する会社が著作権者となるケースもあります。これを法人著作と言います。
以下の事項を全て満たす場合は、法人著作となります

  1. その著作物を作る企画を立てるのが法人その他の使用者であること
  2. 法人等の業務に従事する者の創作であること
  3. 職務上作成されること
  4. 公表するときに法人等の名義で公表されること
  5. 契約や就業規則で職員を著作者とする定めがないこと

参照:文化庁「著作者について」

動画本体の著作権について

通常、個人が制作した動画は、動画を制作した本人が著作権者です。

さて、ある企業が動画制作を外部企業に委託発注した場合、著作権の帰属先はどうなるでしょうか?

「当然、お金を払って発注した企業が著作権を持つのではないか?」と考えがちですが、実は権利関係について明確な合意がない場合は、動画を制作した企業に著作権が帰属する、と法律上は解釈される可能性が高いのです。

しかし、制作会社が動画の著作権を持った場合、発注元の企業が新たな用途で動画を使う都度、著作権を持つ制作会社に許諾を得なくてはなりません

これではビジネス上、効率が悪い運用になってしまいます。
回避するためには、「著作権を買い取り、権利の譲渡を受ける」という方法があります。

買い取りの具体的な方法については後述するので、ぜひ参考にしてみてください。

動画素材の著作権にも注意!

クオリティの高い動画を制作する上で、BGMやテロップといった素材は欠かせないものです。
こうした動画素材においても、著作権の確認は必要です。

動画素材の例:画像(イラスト・写真など)、BGM、効果音、テロップで使う文字フォント、シナリオ、歌詞、キャッチコピー、二次利用動画、キャラクター

キャラクターに著作権があることは広く知られていますが、インターネット上で見つけた画像を何気なく使ったり好きなアーティストの音源を動画に挿入して公開したりしていませんか?

著作権の所在を意識しないでいると、気づかないうちに著作権を侵害している可能性があるので注意が必要です。

動画制作で著作権を侵害しないためのポイント

動画を制作する上で、著作権を侵害しないためのポイントを3つにまとめました。

ポイント①制作着手する前に、著作権について理解しておく

YouTubeでは2021年3月から、動画アップロード時に著作権侵害が無いかをチェックする機能が追加されました。

しかし、いったん完成した動画に後から修正を加えるのは、なかなか大変な作業です。
著作権について理解した上で動画制作に着手することが、著作権を侵害しないための1番の近道です。

当記事では動画を制作する上で必要なポイントに絞って紹介していますので、時間のあるときに、文化庁のサイトもチェックしてみましょう。

ポイント②著作権フリーの素材を使う

インターネット上には、フリー素材を配布しているサイトが沢山あります。

例えば「フリー素材 BGM」といったワードで検索すると、著作権フリーのBGMをダウンロードできるサイトに辿り着くことができます。

クチコミやランキングも参考にしながら、安心できるサイトを見極めてフリー素材を活用しましょう。

また、動画の編集アプリが無料であっても、素材が全て著作権フリーとは限りません

規約で、素材が著作権フリーであることを確認するか、著作者の承諾を得て、必要時は使用料をきちんと払うなど、合法的に素材を使いましょう

外部企業に動画制作を委託する場合は、基本的に動画制作会社が保有する素材を使って制作してくれるので、著作権の観点でも安心です。

ポイント③契約書で著作権の帰属先を明確にする

外部企業に動画制作を発注する際は、業務委託契約書で、動画の使用用途・利用可能期間・著作権の帰属先などを明文化しましょう。

動画の著作権を、発注側が買い取ることも可能です。

著作権を買い取ると、動画の二次利用も自由に行うことができるので、ビジネスにおいて動画を円滑かつ有効に活用することができます。

見積もりを取得する段階で、動画の著作権を買い取る旨も先方に伝えておくと後工程の調整もスムーズです。

著作権に関連して:動画制作における肖像権

動画を制作する際は、肖像権の理解も必要不可欠です。著作権とセットで学んでおきましょう。

肖像権とは?

肖像権とは、他人から無断で撮影されたり、撮影されたものが無断公開されたりすることを拒否できる、人格保護のための権利です。

著作権とは違い、肖像権は法律上の定義がありません。
日本は前提思想として、憲法第21条に「表現の自由」が定められているからです。

しかし、肖像権を侵害した場合は民事訴訟に発展し、名誉毀損罪や侮辱罪などで裁かれる可能性があります。
損害賠償請求が認められた判例も少なくありません。

また、インターネットの普及に伴い、個人情報の流出やプライバシー保護に対する人々の感度は高まるばかりです。

こうした時流の中で、肖像権は、動画制作をする上でもケアするべき重要なテーマと言えます。

肖像権には、大きく分けて「プライバシー権」と「パブリシティ権」という2つの側面があります。

参照:日本音楽事業者協会

プライバシー権について

プライバシー権とは、自己の容姿を無断で撮影されたり、撮影された写真を勝手に公表されたりしないよう主張できる権利です。

人の容姿を無断で大衆にさらすことは、相手の人格を無視した行為であり、精神的苦痛をもたらす恐れがあるからです。

動画を制作する上で、撮影前に、相手に事前に撮影・公開の許諾を得ることは基本的なマナーです。

親や兄弟であっても、本人に無断で容姿を撮影し、不特定多数の人に向けて公開することは肖像権の観点でNGです。

肖像権は本人に帰属するので、たとえ自分の子どもであっても、親が独断でSNSに子どもの写真を公開したりする行為は、厳密には肖像権の侵害にあたります

動画の撮影中、意図せず背景に映り込んでしまった通行人に対しても、肖像権の観点でケアが必要です。

本人が特定できないよう、モザイクやぼかしをかけるなどの配慮をしましょう。
横顔程度の映り込みであってもケアが必要です。

参照:日本音楽事業者協会

パブリシティ権について

芸能人、スポーツ選手といった有名人やモデルは、顔や名前で人を商品に引きつけることができます。

パブリシティ権とは、こうした著名人の肖像や氏名が持つ経済的な価値を、排他的に支配できる権利です。

通常、著名人は事務所などに所属して活動しています。

例えば、あるモデルの写真を事務所に無断で使って動画を公開した場合、「写真(著作物)を無断で使った」という点で著作権を侵害するだけでなく「事務所に無断でモデルを使った」という点でパブリシティ権を侵害することに値します。

著名人を採用して動画を制作する場合は、事務所と交渉し、動画の内容詳細、使用目的、動画の使用可能期間や料金などを契約書上で合意・締結する必要があります。

事務所や、採用する著名人によって制約も様々なので、動画制作で著名人を採用する際は、円滑な交渉を見据えて、自社と取引実績のある事務所、もしくは発注先の動画制作会社と日頃から付合いのある事務所から採用することをおすすめします。

動画の背景に、著名人を採用している広告やポスターなどが映り込んでしまった場合もケアが必要です。
モザイクやぼかしをかけて、特定できないようにしましょう。

参照:日本音楽事業者協会

まとめ:動画制作の際は著作権の侵害に注意!

いかがでしたでしょうか。

著作権を守るということは、人の尊厳と財産を傷つけないための配慮です。

「他人の著作物を無断で使ってはならない」という著作権の基本思想を念頭に置き、動画の制作過程で「これは著作権の侵害にあたらないだろうか?」と自ら立ち止まれるよう、アンテナを張って素敵な動画を制作しましょう!

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この記事の監修者

若林 農

株式会社サムシングファン/大阪動画戦略部 マネージャー 1978年 京都生まれ。 関西大学・マスコミュニケーション学専攻。 卒業後、現在に至るまで映像業界で20年以上のキャリアを積み、 企画から演出、編集までをこなす。 また、ジャンルを問わず企業動画からコマーシャルまで幅広く対応出来る、 万能ディレクター。

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