近年、動画マーケティングが注目されています。
とはいえ、どのように動画をマーケティングに活用しているのか、疑問に感じていませんか?
この記事では、動画マーケティングの事例を、マーケティングの目的別に10個紹介します。
ぜひ、自社のマーケティング施策の参考にしてください。
目次
動画マーケティングの現状
まずは動画マーケティングの現状として
- 動画広告市場は拡大傾向
- 動画プラットフォームが浸透
- SNS上で動画を見る人が増加
- 5Gの普及
の4点について解説します。
動画広告市場は拡大傾向
スマートフォンやタブレットの普及により、動画は身近なコンテンツとなりました。
その影響は動画広告市場にも大きな影響を与えており、現在、日本の動画広告市場は拡大の一途をたどっています。
株式会社サイバーエージェントの調査によると、日本国内の動画広告市場の推移は以下の通りです。
市場規模(億円) | |
2021年 | 4,205 |
2022年 | 5,601 |
2023年 | 7,209 |
2024年 | 8,741 |
2025年 | 10,524 |
2026年 | 12,451 |
出典:サイバーエージェント、2022年国内動画広告の市場調査を実施(Cyber Agent)
2026年には、2021年の約3倍の規模に達すると予測されています。
そのため、今後は動画マーケティングの重要性がさらに大きくなるといえます。
動画プラットフォームが浸透
スマートフォンやタブレットの普及は、YouTubeをはじめとする動画プラットフォームを社会に浸透させました。
誰もが動画を投稿できるようになったことで、今やインターネット上に動画があふれています。
そのため、消費者は商品・サービスを購入する前に、Webサイトだけでなく、動画を見て検討できるようになりました。
企業としても、動画プラットフォーム上で動画広告を配信することで、マーケティング効果が期待できるようになりました。
SNS上で動画を見る人が増加
SNSも広く社会に浸透しています。
特に若者の間では「それぞれが何かしらのSNSを活用している」といっても過言ではない状況です。
実際、ニールセンデジタル株式会社は、インターネット利用者の40%が主要SNS(YouTube、Instagram、Facebook、Twitter、LINE、TikTok)で動画を視聴していると発表しています。
30歳以下の若年層に限ると、この数値は60%以上です。
以上から、SNSでの動画配信も、マーケティングにおいて有効といえます。
ターゲットとなるユーザーが多いSNSを狙えば、大きな効果が期待できるでしょう。
出典:デジタル・コンシューマー・データベース2022(ニールセン デジタル株式会社)
5Gの普及
2020年からは5G環境がスタートしました。
今までは大容量のデータ通信には時間がかかっていましたが、5G環境になると、大容量のデータでも瞬時にやり取りできるようになります。
そのため、動画マーケティングもより幅広くなる可能性が高いです。
具体的には、視聴者が直接操作できるインタラクティブ動画や、VR・ARなどがより身近になると予想されています。
動画マーケティングのメリット
動画マーケティングのメリットは以下の3点です。
- 多くの情報を伝えられる
- ストーリーを伝えやすい
- 効果測定ができる
それぞれについて詳しく解説します。
多くの情報を伝えられる
動画は画像やテキストに比べ、多くの情報を伝えられます。
一般的に、テキストに比べて画像は7倍、動画は5,000倍の情報を伝えられるといわれています。
また、アメリカの調査会社のForrester ResearchのJames L. McQuivey博士の研究によると、1分間の動画の情報量は、文字に換算すると180万語、Webページに換算すると3,600ページになるようです。
これは、動画が視覚と聴覚で情報を伝えることが理由です。
一般的に、人はコミュニケーションの際に
- 視覚情報:55%
- 聴覚情報:38%
- 言語情報:7%
の割合で情報を得ているといわれています(メラビアンの法則)。
9割以上の情報を視覚と聴覚で得ていることからも、動画が持つ圧倒的な情報伝達力がわかります。
ストーリーを伝えやすい
文字だけでは伝わりにくいストーリーも、動画であればスムーズに伝えられます。
前述のように、視覚と聴覚の両方に訴えられることが理由です。
例えば、作り手のこだわりを伝えるとき、動画であれば表情や想いもわかるため、文字情報以上に訴求力が生まれます。
その結果、視聴者の共感を呼びやすくなり、ブランディングや売上増加が期待できます。
インパクトやわかりやすさという点において、動画は絶大な効果があるといえるでしょう。
効果測定ができる
効果測定が容易な点も動画の特徴です。
例えば
- クリック数
- 再生回数
- 視聴完了率
といった指標から、視聴者の行動を定量的に分析できます。
また、掲載ページのPV数やコンバージョン率などと一緒に分析することで、マーケティング効果も把握できます。
そして、明らかになった課題から施策の内容を改善すれば、マーケティングの質を高めていくことが可能です。
動画マーケティングの成功事例10選
ここからは、動画マーケティングの事例を、以下の3つの目的に分けて紹介します。
- ブランディング・認知度向上
- 販売促進
- 既存ユーザーのフォロー
ブランディング・認知度向上の事例
まずはブランディング・認知度向上を目的とした動画マーケティングの事例を4つ紹介します。
事例①キッコーマン
https://youtu.be/VkzP21qS5EI
減塩醤油のおいしさをPRする動画です。
事前の調査から「減塩醤油は健康に良いものの、おいしさは今ひとつと感じている人が多い」と仮説を立て、それを覆す構成にしています。
ターゲット層はスマートフォンでの閲覧が多いと想定し、スマートフォンでも見やすいクリエイティブにしているのがポイント。
具体的には、小さな画面でも見やすい大きさのテロップや、音がなくてもおいしさが伝わるような演出を加えています。
その結果、完全視聴率が想定の3倍となり、ブランディングに成功しています。
事例②東京海上日動
就活中の学生をターゲットとした動画です。
画像やイラストに動きをもたせる「モーショングラフィックス」という手法を使って、インパクトのある動画に仕上げています。
「モナリザ」をはじめとする世界的な絵画が表情を変えながら就活生になりきって質問する様子は、印象的であると同時に、どこか親しみを覚えます。
視聴者の記憶に残りやすい動画の事例といえるでしょう。
事例③スーパーホテルLohas
実際のホテルで撮影を行い、サービス内容やメリットを紹介しています。
ポイントは、ホームページで予約した場合の特典をPRしている部分。
自社ホームページに誘導することで、自社についてより深く知ってもらおうとしています。
最後に「スーパーホテルLohas」で締めくくり、検索しやすくしている点にも注目です。
事例④freee株式会社
https://youtu.be/0FoQsjX55KQ
マイナンバー制度について、ターゲットである小規模事業の経営者向けに解説した動画です。
この動画のポイントは、プレスリリースで動画配信を発表した点です。
複数のニュースサイトに掲載されることで、認知度向上を狙いました。
また、同社でもYouTubeやFacebook、メールマガジンなどで周知を行いました。
その結果、BtoB商材にもかかわらず、YouTubeのチャンネル登録者数2万人を達成。
衆議院議員にもTwitterで紹介されるなど、大きな話題を呼びました。
動画マーケティングでは、複数の媒体を組み合わせることも重要です。
販売促進の事例
次に、販売促進を目的とした動画マーケティングの事例を4つ紹介します。
事例⑤メルセデス・ベンツ日本
新発売する車をPRする動画です。
ターゲットは40歳以下の人でしたが、「高価で手を出しにくい」というイメージを持つ人が多くいました。
そこで、誰もが知っているキャラクター「マリオ」を起用。
その結果、動画を通して親しみが湧き、40歳以下の顧客の来店が増加しました。
事例⑥ダスキン
家族介護支援サービスの紹介動画です。
実写では生々しくなってしまう「介護」というテーマを、アニメーションを用いてソフトに表現した点が特徴です。
結果として、コンバージョンにつながる問い合わせが増加しました。
事例⑦花王
シャンプーのEC市場のシェア獲得を目指して作られた動画です。
ターゲットを細かく分け、ターゲットごとに異なる訴求をしているのがポイントです。
5つのシャンプーを紹介していますが、どれも「こんなお悩みを抱えている方へ」と、わかりやすいメッセージで伝えています。
また、複数パターンのクリエイティブを作成し、ABテストを実施。
どの表現がユーザーに刺さるのか、徹底的な効果検証を行いました。
的確な戦略と改善を繰り返した結果、売上は2倍に上昇しています。
事例⑧ニトリ
https://youtu.be/X1VSHKUNepQ
家具を組み合わせて、レイアウトの作り方を紹介している動画です。
シンプルなうえにテンポも良いため、内容が頭に入ってきやすくなっているのが特徴です。
「ニトリの家具でこんなおしゃれな部屋ができるんだ」と共感を得やすく、商品の購入を検討してもらいやすくなっています。
既存ユーザーのフォロー動画の事例
既存のユーザーに向けて動画マーケティングを行っている場合もあります。
商品の使い方などのアフターフォローを充実させることで自社のファンになってもらい、リピートを促進することが狙いです。
ここからは、既存ユーザーのフォローを目的とした事例を2つ紹介しますね。
事例⑨Gillette Japan
同社の人気商品を使ったヒゲの整え方を解説した動画です。
ターゲットは、対象の商品を購入したものの、上手く使いこなせていないユーザーです。
商品の使い方が丁寧に説明されているので、顧客満足度を高め、リピートにつなげる効果があります。
事例⑩無印良品
化粧品のライン使いを提案している動画です。
自社製品を用いて、具体的な使い方や効果について解説しています。
化粧品の組み合わせに悩む方が多いからこそ、具体例を示すことで「無印の商品を使ってみよう」と促進する効果があります。
マーケティング用動画を制作するときのポイント
マーケティング用動画を制作するときは、以下の5点を意識しましょう。
- HHH戦略を意識する
- ペルソナを設定する
- 配信する場所を決める
- メッセージを絞る
- 定期的に効果測定と改善を行う
それぞれについて詳しく解説します。
HHH戦略を意識する
まずは、動画マーケティングの基本戦略である「HHH戦略」を意識しましょう。
HHH戦略は、2014年頃からGoogleが提唱している概念で、3つのHは以下を示します。
- Hero:大衆(潜在顧客)に向けて共感を得る動画を発信し、認知度向上を目指す
- Hub:見込み顧客に向けて商品・サービスの魅力を感じる動画を発信し、コンバージョンを目指す
- Help:既存の顧客に向けてアフターフォローの動画を発信し、リピートを促す
今回紹介した事例も、3つのHごとに項目を分けて紹介しています。
動画マーケティングの目的を明確にできるので、訴求力のある動画を制作しやすくなります。
また、3タイプの動画を適切な場所で配信することで、より大きな成果も期待できるでしょう。
ペルソナを設定する
ペルソナとは、動画を見てほしい視聴者の詳しい人物像のことです。
以下の項目を設定して、特定の個人が連想できるレベルまで詳しく設定するのがポイントです。
- 年齢
- 性別
- 職業
- 家族構成
- 趣味嗜好
- 価値観
- 主な情報収集方法 など
ペルソナを細かく設定することで、視聴者の悩みをよりイメージしやすくなります。
そのため、視聴者の関心を引く、訴求力の高い動画が作りやすくなります。
配信する場所を決める
配信場所を決めるポイントは、ターゲットが多く利用している媒体を選ぶことです。
例えば、ビジネスパーソン向けであればFacebook、20〜30代の女性向けであればInstagramといった感じです。
また、配信場所によって、動画のフォーマットや求められる形が異なります。
例えば、YouTubeでは音声ありで視聴する方が多いのに対し、FacebookやTwitterでは音声なしで視聴する方が多くなります。
配信する場所に合わせた動画を作るよう、意識しましょう。
メッセージを絞る
動画制作時にやりがちなミスが、多くの情報を詰め込んでしまうことです。
あれこれ伝えたい気持ちもわかりますが、情報量が多すぎると、視聴者はかえって混乱してしまいます。
本当に伝えたいことも伝わりません。
そのため、情報を整理して、伝えるメッセージを絞りましょう。
具体的には、1つの動画で伝えるメッセージは1つに決めるのがおすすめです。
ポイントが絞れていた方が視聴者にも伝わりやすく、目的を達成しやすくなります。
定期的に効果測定と改善を行う
動画を配信した後は必ず効果測定を行い、内容の改善を行いましょう。
定期的に効果測定と改善を行っていくことで、動画マーケティングの効果を高められます。
配信してそのままにしないようにしましょう。
動画マーケティングの注意点
動画マーケティングを実施する際は、以下の点に注意してください。
- 専門的なノウハウが必要
- 動画制作にコストが必要
- 作り直しが困難
それぞれについて詳しく解説します。
専門的なノウハウが必要
動画マーケティングには、専門的なノウハウが必要です。
動画の撮影・編集だけでなく、マーケティングに関する知見も求められます。
やっているうちにノウハウは得られますが、基礎がない場合は専門業者にサポートしてもらうのがおすすめです。
動画制作にコストが必要
動画制作では、機材にかかる費用や人件費などのコストがかかります。
工程が複数あるため、ブログ記事などのテキストコンテンツに比べ、多くの費用が必要です。
動画のクオリティを高めたい場合は外注も必要になるため、さらに高いコストが発生するでしょう。
内製・外注どちらを選ぶにしても、費用対効果を考えながら取り組むのがポイントです。
作り直しが困難
動画はWebページやブログ記事よりも、作り直しが難しいです。
ダイジェスト動画のように再編集のみで良い場合は別ですが、多くの場合、再度撮影する必要があるからです。
そのため、事前の準備や確認を徹底して、作り直しが発生しないようにしてください。
動画マーケティングの実践が不安なら制作会社への外注がおすすめ
動画マーケティングについて具体的なイメージがつかめた一方で、「自社だけで効果的な動画マーケティングができるかわからない」と不安に思っていないでしょうか?
もし自社だけで動画マーケティングに取り組むのが不安なら、動画マーケティングのノウハウがある制作会社に依頼するのがおすすめです。
制作会社に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
- 動画のクオリティが担保される
- 人的リソースを抑えられる
- 効果検証を繰り返して成果につなげてくれる
コストはかかりますが、自社で1から始めるよりは、外注の方が費用対効果が良いといえます。
少しでも不安があるなら、まずは制作会社に相談してみましょう。
なお、動画マーケティングに強い制作会社は、以下の記事で紹介しています。
ぜひ参考にしてください。
関連記事:【2023年最新】動画マーケティングに強いおすすめの大手会社10選
動画制作会社を選ぶときのコツ
制作会社を選ぶときのポイントは以下の通りです。
- 過去の実績を確認する
- サービス内容が求めるものと合致しているかチェックする
- 相見積もりをとる
それぞれについて詳しく解説します。
過去の実績を確認する
まずは制作会社のホームページ等で、過去の実績を確認しましょう。
過去の実績を見ることで、得意分野や動画のクオリティがわかります。
また、実績が多いことは、信頼性の高さも示しています。
依頼したい会社の強みは何か、しっかり把握しておきましょう。
サービス内容が求めるものと合致しているかチェックする
制作会社ごとに、サービス内容は異なります。
動画マーケティングを一気貫通でサポートしてくれる制作会社もあれば、部分的なサポートが可能な制作会社もあります。
会社によっては、内製化支援を行っている場合もあるでしょう。
- 自社の求める内容
- 自社のノウハウ
- 予算
に応じて、マッチするサービスを選びましょう。
相見積もりをとる
見積もりは必ず複数社にとるようにしましょう。
同じ要望でも、制作会社によって、金額が異なるからです。
見積もりを出してもらった中から、コストパフォーマンスの高い制作会社を選びましょう。
なお、制作会社の選び方は、以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてください。
まとめ:事例を参考に動画マーケティングを効果的に取り入れよう
動画マーケティングの事例や現状、制作会社の選び方などを紹介しました。
最後に、動画マーケティングのポイントをまとめておきますね。
- HHH戦略を意識する
- ペルソナを設定する
- 配信する場所を決める
- メッセージを絞る
- 定期的に効果測定と改善を行う
もし自社だけで動画マーケティングに取り組むのが不安なら、制作会社に依頼するのがおすすめです。
弊社サムシングファンでも、動画マーケティングをサポートしています。
マーケティングの知見を活かし、活用を見越した動画制作を行なっているので、お気軽にご相談ください。
また、企業が抱える課題を、動画を使って解消していく「動画DX®︎」という取り組みも提唱しています。
以下の資料に動画DX®︎の活用方法を詳しくまとめているので、ぜひご活用ください。