プログラミング経験が浅くても、感覚的な操作でゲーム開発ができるゲームエンジンの2大巨塔がUnity(ユニティ)とUnreal Engine(アンリアル エンジン)です。
特にUnreal Engineは、実写と見まがうほどリアルで美しいビジュアルを表現できるツールが、すべて無料で開放されているのが最大の魅力です。
大手ゲーム会社や、プロの動画クリエイターにも使われているツールです。
今回は、そんなUnreal Engineで何ができるのかを、初心者向けのやさしい文章で解説します。
「プログラミングは得意じゃないけど、ゲーム開発をやってみたい!」
「3Dアニメーションを作ってみたい」
「Unreal Engineを使って動画制作をしてみたい」
と思っている方は、ぜひチェックしてください。
目次
Unreal Engineとは?
(出典:Unreal Engine)
Unreal Engineとは、米国企業のEpic Gamesにより開発された3D制作ツールです。
建築業界や自動車業界でモデリング制作に使われている他、ゲーム開発プラットフォームとしても高い人気を誇っています。
Unreal Engine最大の魅力は、なんと言っても実写のようにリアルなビジュアルを作れること。
世界的人気を誇るダイナミックなオンライン戦闘ゲーム「Fortnite(フォートナイト)」を始め、ドラゴンクエストⅪやストリートファイターVなど、数々の人気ゲームがUnreal Engineで開発されています。
Unreal Engineはオープンソースなので、誰もが無料で使うことができます。
Unreal Engineで作成したコンテンツの粗利益が100万米ドル(約1億円)に達した場合にのみ、5%をロイヤリティとして支払う必要がありますが、個人ではなかなか辿り着けない領域なので、初心者でも気軽にゲーム開発や3Dアニメーション制作に挑戦できます。
Unreal Engineは、省略して「UE」と表記されることが多いです。
今、最も利用されているバージョン4も併せて「UE4」と表記されることも多いので、覚えておきましょう。
Unreal Engineで何ができる?
「3D制作ツール」と言っても、初心者の方は、どんな画面でどんな操作をするのか、あまりイメージが湧かないかもしれません。
ここからは、Unreal Engineで何ができるのかをイメージ画像も交えてご紹介します。
3Dキャラクターの制作
(出典:Unreal Engine)
アニメの登場人物のような2Dキャラクターを製作できるのはもちろんのこと、Unreal Engine内で提供されているツール「メタヒューマン」を使えば、実写のようにリアルな3Dキャラクターを制作できます。
制作方法は、とても簡単。
巷のゲームでもよくある、最初のキャラクター作りのステップのように、データベース上の膨大なテーマからパーツを選んで、お好みの人物にカスタマイズするだけ。
何万本という髪の毛や、ふさふさした動物の毛も、ストランド(房)のツールを使って簡単に表現できます。
今、「いちから作るのは、時間がかかりそうだな…」と思ったあなた。
ご安心ください。
Unreal Engineでは、完成済みのデジタルヒューマンのサンプルデータが50人分以上提供されています。
マニュアルを読まなくても、感覚的に操作できる仕様なので、ぜひ触ってみてください。
3Dワールドの構築
(出典:Unreal Engine)
ゲーム開発や3Dアニメーション制作をするためには、キャラクターが降り立つワールド(世界)が必要です。
Unreal Engineでは、オリジナルのワールド(世界)を構築することもできます。
広大な山、川、空の不規則な表情を、本物顔負けに表現できるプログラムが揃っている他、構築した世界を、まるで映画のように爆破・崩壊させる「Chaos」プログラムも搭載。
ライブ放送のためのバーチャルスタジオなど、ワールドのサンプルデータもありますよ。
また、Unreal Engineは仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)の制作にも適応した環境になっています。
ゲームの設計・構築
(出典:Unreal Engine)
ゲームを作るには、例えば「ステージ1で、Aボタンを押したら、キャラクターがジャンプする/Bボタンを押したら、攻撃する」と言った動作パターンを設計する必要があります。
UnityやUnreal Engineが登場する以前は、設計したパターンを実現するために、プログラミング言語で膨大な量のソースコードを書く必要がありました。
しかし、Unreal Engineの「ブループリント」というシステムを使えば、ゲームの挙動を、直感的な操作で制御することができるのです。
「動き回る・ジャンプする・泳ぐ・落ちる」といった基本動作はキャラクターにデフォルト設定済みなので、簡単なゲームであればプログラミング知識が浅くてもUnreal Engineで作ることができます。
なお、オリジナルの動作を加えるといった、より高度な設定を施す場合はC++というプログラミング言語で書き加える必要があります。
3Dアニメーションの編集
(出典:Unreal Engine)
Unreal Engineでは「シーケンサー」というツールを使って、アニメーション編集もできます。
まずは前項目でご紹介した、ブループリントを使ってワールドにキャラクターを配置し、キャラクターの動作を設定します。
次にシーケンサーのカメラツールで撮影角度を配置し、レコード機能で録画をすると、1コマの動画ができあがります。
この作業を何度も繰り返して、シーケンサー上でコマを繋いだり、効果音やBGMを追加したりすることで、アニメーション動画を作ることができます。
動画編集の経験がある方であれば、馴染みやすい操作画面だと思います。
制作したコンテンツを、色んなデバイスで楽しめる
Unreal Engine は、様々なOSに対応している「マルチプラットフォーム開発環境」なので、パソコンやスマートフォンで視聴・プレイすることができます。
具体的には、以下の環境に対応しています。
Windows / MacOS / Linux のデスクトップPC、PlayStation 4 / PlayStation 5/ Xbox One / Xbox Series X / Nintendo Switch のコンソール、 iOS / Android のモバイル デバイス
作ったコンテンツは、せっかくですから多くの人に楽しんでもらいましょう!
Unreal Engineを使う上での注意点
Unreal Engineを使う上で、いくつか留意しておくべきことをピックアップしました。
注意点①導入環境のスペック
Unreal Engineに限らず、高精細なグラフィックや動画を制作する際は、パソコンが膨大な量のデータをリアルタイムで処理する必要があるため、高処理性能のパソコンを用意する必要があります。
いわゆる「普通のパソコン」だと、だいたいメモリが4GBくらいなので、ゲーム開発や3Dアニメーション制作には不向きです。
推奨環境は、Unreal Engineのバージョンアップと連動して公式ホームページで随時更新されます。
以下の公式ホームページで、最新の情報をチェックしてください。
(ページ左上で、バージョンを選択できます)
オンラインショップでパソコンを購入する場合は「ゲーミングPC」で検索すると、スペックが合うパソコンが見つかりやすいですよ。
推奨環境の情報を読んでもよく分からない場合は、パソコンを販売している家電量販店の店員さんにリンク先の情報を見せると、お勧めのパソコンを紹介してもらえるはずです。
また、以下の記事ではUnreal Engineの推奨スペックについて解説しています。
こちらもぜひ参考にしてください。
参考:Unreal Engine4の推奨スペックは?おすすめPCも紹介
注意点②Unreal Engineのバージョン
現時点で、最も広く使われているバージョンはUnreal Engine 4です。
最新バージョンとして、既にUnreal Engine 5がリリースされていますが、4と互換性がありますし、4と5では機能や画面レイアウトが大きく異なる可能性があるため、現時点ではマニュアルや制作実績が最も豊富なバージョン4を使うことをお勧めします。
現時点で、4の最新のバージョンは4.27です。
4以下の数字はマイナーバージョンと呼び、比較的小規模なプログラム変更を取り込むごとに27、28、29…と上がって行きますので、1年間で何回かバージョンアップされる可能性があります。
最新のバージョンアップ内容は、以下の公式ホームページでチェックできます。
注意点③マニュアルは英語が多い?
Unityと比べてUnreal Engineは英語ドキュメントが多いと言われています。
確かに、以前はUnityと比べて日本語マニュアルが乏しい状態にありましたが、現在は基本的な操作マニュアルからチュートリアルまで一通りの日本語資料がリリースされているので、安心して取り組める環境が整っています。
使い始めるにあたっては、各ツールのチュートリアル(基本的な操作方法を学ぶための簡単なプログラム)を経験すればUnreal Engineを使いこなす近道になりますので、お試しください。
YouTubeでも、Unreal Engineの公式チャンネルが日本語で操作レクチャー動画をアップしています。
ぜひチェックしてください。
(出典:YouTube「Unreal Engine JP」)
注意点④Unreal EngineはUnityよりも操作が複雑?
Unreal Engineは高度なプログラムを多数搭載している分、Unityよりも操作が複雑と言われています。
確かにUnityと比べてビジュアル分野に注力したツールが揃っている分、機能がより複雑であると言えますが、チュートリアルを経験すれば感覚的に操作を覚えられる仕様になっていますので、そこまで身構える必要はないでしょう。
また、「Unreal Engineを使いこなすことができれば、Unityも使える」とも言われています。
重複機能が多いので、Unreal Engineを習得してしまえば一石二鳥!
と言っても良いかもしれません。
まとめ:Unreal Engineを使ってみよう!
いかがでしたでしょうか?
最後にもう一度、Unreal Engineで何ができるのかおさらいします。
- 3Dキャラクターの制作ができる
- 3Dワールドの構築ができる
- ゲームの設計・構築ができる
- アニメーション編集ができる
触れば触るほど、クリエイター魂を刺激される3D制作ツール、それがUnreal Engine(アンリアルエンジン)です!
使えば動画制作の幅も広がりますよ。
週末のおうち時間や、年末年始などの長期休暇中に、あなたの頭の中のアンリアル(非現実)をUnreal Engineでリアル(現実)化してみてはいかがでしょうか?