VR動画を見たことはありますか?
専用のゴーグルを装着すると広がる仮想空間では、現実と間違えるほどの臨場感を味わえますよね。
でも、動画クリエイターのみなさんは「VR動画はどうやって作るの?」という疑問を持ったのではないでしょうか?
実は、ゲームエンジンUnityを使えば、VR動画を制作することができます。
今回は、UnityでVR動画を制作するための基礎を解説します。
具体的には、制作環境や活用事例、学習方法を紹介。
VR動画の制作に興味がある方、動画クリエイターとしてレベルアップしたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
Unityとは
「Unity」は、アメリカのUnity Technologies社が開発・提供しているゲームエンジンです。
世界190か国、100万人以上のユーザーが使用しており、ゲームエンジンとしては世界1位のシェアを誇ります。
日本では主にスマホゲームの開発現場で活躍。
「ポケモンGO」や「白猫プロジェクト」など、多くのスマホゲームを生み出しています。
また、最近では映画やアニメなどの映像分野での使用も増えてきました。
企業の中には、Unityを使える動画クリエイターを探しているところもあります。
今後動画市場が拡大するのに伴って、Unityを使ったVR動画の需要も増えるでしょう。
なお、Unityに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
Unityについてもっと知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
関連記事:Unityで動画作成をするには?学習方法やメリットを紹介
VRについて
今回のテーマである「VR」について紹介します。
「AR」や「MR」など、似たような言葉との違いも詳しく解説しますね。
VRとは
VRはVirtual Realityの略で、「仮想現実」や「人工現実感」と訳されます。
専用のゴーグルで360度の映像を流すことで、実際にその空間にいるように感じられる技術です。
VR動画には以下の2種類があります。
- 視聴型:3D映像を視聴する
- 参加型:映像の中を歩いたり、映像内のものに触れたりできる
VR動画は自由度の高さと臨場感を味わえることから、さまざまな分野から注目を集めています。
ゲーム分野にとどまらず、建築や医療、観光など、幅広い場面で活用されています。
今後はさらに広がり、「VR動画を作ってほしい」という企業も増えるでしょう。
MRやARとの違い
VRと似た言葉に、MRやARがあります。
それぞれの違いは表の通りです。
VR(Virtual Reality) | AR(Augmented Reality) | MR(Mixed Reality) | |
日本語訳 | 仮想現実 | 拡張現実 | 複合現実 |
概要 | 現実とは異なる仮想空間を体感できる | CGなどを用いて現実世界を拡張する | 現実世界を仮想空間に反映して融合させる |
主体 | 仮想空間 | 現実世界 | 仮想空間 |
主なデバイス | VRゴーグル、ヘッドマウントディスプレイ | ARグラス、スマートフォン | MRゴーグル |
「AR」は、現実世界に非現実を重ねて、現実世界を拡張させる技術です。
ARの具体例で分かりやすいのが、「ポケモンGO」です。
「ポケモンGO」では現実空間にCGでポケモンを重ねることで、実際にポケモンがいるかのように見せています。
一方の「MR」は、現実世界と仮想世界を組み合わせる技術です。
現実世界の中に仮想世界の情報や映像を反映させて、仮想のものが目の前にあるかのように感じさせます。
360度動画との違い
VR動画と間違えやすいもので、360度動画があります。
VR動画と360度動画の違いは「視点」です。
360度動画は画面をクリックすると好きな方向を見られますが、視点はあくまでも正面。
一方で、VR動画は視点が制限されません。
移動しながら視点を変えられたりと、非常に自由度が高いのが特徴です。
UnityのVR動画を活用した事例
ここで、Unityで作られたVR動画の事例を紹介します。
建築や車両開発など、さまざまな分野で使用されています。
建築分野
建築分野では、家の内覧や完成イメージを見せる際にVR動画が活用されています。
図面や写真で紹介されるより実際の広さや明るさが分かるため、暮らしをより想像しやすいのが特徴です。
動画の後半で示されているように、フローリングや壁の色を変えて、さまざまなバージョンを簡単に見せられるのもポイントですね。
都市開発
都市開発の分野でも、VR動画は活躍しています。
これから造る街の様子を臨場感ある映像で示すことで、完成イメージが分かりやすいですね。
動画の後半にあるように、歩行者視点で街を歩けるのもポイント。
自由に歩いたり向きを変えたりできるため、街の規模や雰囲気も分かりやすくなっています。
車両開発
3つ目は、トヨタ自動車での活用事例です。
VRやMRを用いて、車の細かい部分まで把握できるようにしています。
細かい部分をVRで可視化することで、修理やメンテナンス作業の助けになっています。
UnityでVR動画を作成する時に必要な環境
ここからは、UnityでVR動画を制作するときに必要な作業環境について解説します。
まずはUnityをダウンロードしよう
まずはUnityをダウンロードしましょう。
バージョンやプランがいくつかありますが、VR動画を作るなら「LTSバージョン」「Proプラン」を選ぶのがおすすめ。
「Proプラン」は有料プランです。
「まずはUnityに慣れたい」という方は、無料の「Personalプラン」から始めるのもいいでしょう。
また、Unityのバージョンやダウンロードなどを管理できるアプリケーション「Unity Hub」も一緒にダウンロードしておきましょう。
Unityのダウンロードに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:Unityのダウンロード方法を初心者向けに解説!バージョン・プランの違いも
アセットストアを活用しよう
アセットストアとは、映像制作で使える素材(アセット)をダウンロードできるオンラインストアです。
アセットを使いこなすことで、動画制作の幅が一気に広がります。
無料のアセットも多いので、積極的に活用するのがおすすめです。
以下の記事でアセットストアについて詳しく解説しているので、ぜひ活用してください。
関連記事:Unityのアセットストアとは?使い方とアセットのインポート手順を解説
Video Playerを活用しよう
Unity でVR動画を制作する際は、Video Playerで360度動画を作り、VRヘッドセットを装着することでVR動画を見られるように設定します。
そのため、以下のページから、Video Playerを設定しておきましょう。
リンク:Video Playerコンポーネント(Unity Documentation)
UnityでVR動画を学ぶ方法
UnityでVR動画を制作する術を学ぶには、主に3つの方法があります。
YouTubeのUnity Japanチャンネル
動画で学びたい方には、YouTubeのUnity Japanチャンネルがおすすめです。
Unity Japanチャンネルは「初心者向け」「エンジニア向け」など、レベルや属性ごとに動画が分けられているのが特徴。
トークセッションなどもあり、Unityの最新技術や今後の動向についても学ぶことができます。
また、日本語で解説されていることも嬉しいポイント。
Unityは海外で開発されたゲームエンジンなので、公式情報は英語がメインです。
Unity Japanチャンネルは日本語の信頼できる情報源なので、しっかり活用しましょう。
無料学習サイトや動画
Unityは同じゲームエンジンである「Unreal Engine」に比べ、日本語の学習サイトや動画が多くあります。
そのため、ブログや動画などを見て学ぶことも可能です。
主な無料学習サイトと動画は以下の通りです。
- おもちゃラボ:個人ブログ。全6回でUnityの使い方が分かる。
- ドットインストール:全26個の動画で、Unityを基礎から学べる。
- 【VRゲーム開発】GinoVR:UnityでVR動画を制作する方法を基礎から学べる動画。
初心者は、まず「おもちゃラボ」や「ドットインストール」でUnityの基礎について学びましょう。
Unityに慣れてから「【VRゲーム開発】GinoVR」などで、VR動画の制作について学ぶのがおすすめです。
本
現在では、UnityでVR動画を制作する方法をまとめた本が多く出版されています。
本で勉強するメリットは以下の通りです。
- 毎日少しずつ勉強できる
- 辞書のように気になったことをすぐに調べられる
- 付箋やマーカーでチェックできる
おすすめの方法は、Webサイトや動画と本を組み合わせて勉強する方法です。
本をベースに勉強を進め、本で分からないことがあったらWebサイトや動画で調べるといいでしょう。
UnityでVR動画を作成するときの注意点
最後に、UnityでVR動画を制作する際の注意点を2つ紹介します。
プログラミング言語「C#」が必要
Unityを扱うには、「C#」というプログラミング言語が必要です。
初心者でも理解しやすいプログラミング言語なので、学習を進める中で少しずつ覚えていきましょう。
月額料金が必要
Unityの無料プランでは、使える機能が限られています。
そのため、UnityでVR動画を制作するには「Plus」か「Pro」、どちらかの有料ライセンスを選ぶ必要があります。
おすすめは、機能やサポートの充実している「Proプラン」です。
料金は高めですが、使いこなすことで、クオリティの高いVR動画を制作できます。
まとめ:Unityを使ってVR動画を作成しよう
UnityでのVR動画制作について紹介しました。
VR動画はさまざまな分野から注目を集めている技術です。
今後「VR動画を作ってほしい」という企業は増加するでしょう。
ぜひ、Unityを使ったVR動画制作技術を身に着けて、動画クリエイターとしてさらに活躍してくださいね。
以下の資料には、動画クリエイターとして活躍するためのノウハウをまとめています。
ダウンロードは無料なので、ぜひ活用してください。