クラウドファンディングは、プロジェクトに賛同さえしてもらえれば誰でも資金を調達できる手段です。
しかし調達金には税金もかかるため、税金や確定申告の知識を正しく学ばないと、後から納税で慌てることになりかねません。
本記事では、クラウドファンディングの確定申告の必要性や、クラウドファンディングにかかる税金の種類・確定申告の方法などを解説します。
クラウドファンディングの節税方法も解説しますので、資金提供者の方も調達者の方も、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングの税金は、クラウドファンディングの種類と、資金を提供した『資金提供者』・資金を得た『資金調達者』によって異なります。
クラウドファンディングの種類は大きく分けて以下3つです。
- 購入型クラウドファンディング
- 寄付型クラウドファンディング
- 投資型クラウドファンディング
購入型クラウドファンディングでは、資金提供者に対して商品やサービスが提供されます。
寄付型クラウドファンディングは資金提供者への見返りはなく、プロジェクトの支援を目的に行われるクラウドファンディングです。
投資型クラウドファンディングは、資金で得られた利益が資金提供者に分配されるクラウドファンディングを指します。
クラウドファンディングの確定申告の必要性
確定申告とは、1月1日~12月31日の間に得た『所得』を税務署に申告し、所得に応じた税金を支払ったり、払いすぎていた税金を還付してもらったりする手続きを指します。
よく『所得』と『収入』を混同しているケースが見られますが、所得とは収入から必要経費や控除を差し引いた額のことで、収入全体に税金がかかるわけではありません。
クラウドファンディングは資金提供者から資金調達者に資金が提供されるため、その資金が所得として見なされる場合は確定申告が必要です。
また、クラウドファンディングの種類によっては、資金提供者も確定申告によって税金の控除を受けられる場合があります。
基本的にサラリーマンは不要と言われている確定申告ですが、状況によっては確定申告が必要ですので、以下の解説を参考にしてください。
クラウドファンディングにかかる税金と確定申告の方法
クラウドファンディングにかかる税金や確定申告の方法は、以下の通りです。
資金提供者 | 資金調達者 | |
購入型 | ・課税なし ・購入品を事業に利用すれば経費にできる |
個人事業主であれば事業所得、個人事業主でなければ雑所得として確定申告 |
寄付型 | ・課税なし ・法人への寄付であれば寄付控除が可能 |
個人からの寄付は贈与、法人からの寄付は一時所得として確定申告 |
投資型 | 利益が発生したら雑所得として確定申告 | 利益が出たら確定申告 |
それぞれの詳細について解説します。
購入型クラウドファンディングの場合
資金提供者に対して商品やサービスを提供する購入型クラウドファンディングは、実質ショッピングと変わりません。
税金についても商品の購入と同様に扱われ、資金調達者と資金提供者の課税は以下のように考えられます。
- 資金提供者:商品を購入した(収入を得ていない)ので、課税なし。購入品を事業に利用する場合は経費として計算可能
- 資金調達者:商品販売による収入と見なされるので、確定申告が必要。個人事業主であれば『事業所得』、個人事業主でないなら『雑所得』として申告
資金提供者で購入費を経費にできる場合は、結果的に節税ができます。
資金調達者は、調達資金から経費を差し引いた額を所得として申告しましょう。
寄付型クラウドファンディングの場合
資金提供者に対して見返りがない寄付型クラウドファンディングは、実質的に募金などと同じ寄付として見なされます。
資金調達者と資金提供者の課税は以下の通りです。
- 資金提供者:収入を得ていないので、課税なし。資金提供先が法人の場合は、確定申告をすれば『寄付金控除』が受けられる
- 資金調達者:資金を得ているので確定申告が必要。個人からの資金は『贈与』と見なされ贈与税が課される。法人からの資金には『一時所得』として所得税が課される
寄付金クラウドファンディングの場合、資金提供者は確定申告をすることで税金が安くなる可能性が高いです。
資金調達者も、贈与税や一時所得には控除枠があるため、控除枠を超えない場合は非課税となります。
投資型クラウドファンディングの場合
投資型クラウドファンディングには融資型や株式型などがありますが、多くは利益を分配金として出資者に分配する融資型です。
資金調達者と資金提供者の課税は以下の通りです。
- 資金提供者:投資金に対して利益が発生していない場合は、課税なし。利益が発生した場合は『雑所得』として確定申告が必要
- 資金調達者:調達した資金を事業などに利用している段階では、必要経費と見なされて課税されない。利益が出た場合には確定申告が必要
資金提供者の場合、利益に対する所得税はすでに分配時に源泉徴収されていることが多いため、確定申告をすれば払いすぎた分が返ってくる可能性があります。
資金提供者がクラウドファンディングで節税する方法
クラウドファンディングにかかる税金を抑えるには、資金提供者と資金調達者で方法が異なります。
資金提供者の場合は、『寄付金控除』を受ければ節税が可能です。
こちらでは
- 寄付金控除についての詳細
- 控除額の計算
- 寄付金控除を受ける方法
について解説していきます。
節税方法①寄付型クラウドファンディングで寄付金控除を受ける
寄付型クラウドファンディングへの資金提供者は、寄付した金額を『寄付金』として確定申告すれば寄付金控除が受けられます。
寄付金控除とは、個人が国や地方公共団体、認定NPO法人などに寄付をした場合に受けられる控除を指します。
例えば5000円の寄付金控除が受けられる場合、課税対象額から5000円が差し引かれるので、その分所得税が安くなります。
ただし、資金を個人に提供した場合は『贈与』と見なされ、寄付金控除は受けられません。
対象となるのは法人に寄付をした場合のみですので、注意しましょう。
節税方法②寄付金控除額の計算方法
寄付金控除額の計算方法は、以下の通りです。
寄付金控除額=1月1日~12月31に支払った寄付金の合計金額-2,000円
仮に寄付型クラウドファンディングに3万円を提供したとすると、3万円-2000円=28,000円の控除が受けられます。
課税所得から28,000円差し引かれるので、その分所得税が安くなるということです。
控除対象になる寄付金は、1年間の総所得金額等の40%までと定められています。
もし年収600万円なら、年間240万円までは寄付金控除対象です。
節税方法③寄付金控除を受ける方法
寄付金控除を受けるために必要なのは、
- 寄付金額を示す領収書などの書類
- 確定申告
の2つのみです。
寄付型クラウドファンディングに寄付をすると、必ず領収書や受領書が交付されます。
寄付金の控除対象か不明な場合は、プロジェクト担当者に問い合わせるようにしましょう。
資金調達者がクラウドファンディングで節税する方法
クラウドファンディングで資金を得た資金調達者は、以下の方法で節税が可能です。
- 贈与税の基礎控除を受ける
- 開業届けを出す
- 効果的なPRで費用対効果を高める
詳しく解説していきます。
節税方法①贈与税の基礎控除を受ける
寄付型クラウドファンディングで個人から得た資金は『贈与』と見なされ、贈与税が課されます。
贈与税には年間110万円の基礎控除があり、年間110万円までの贈与には税金がかかりません。
法人からの資金は一時所得として換算しなければならないので、資金が贈与に当たるのか所得に当たるのかを分けて、適切な控除を受けるようにしましょう。
節税方法②開業届を出す
クラウドファンディングで得た贈与以外の収入は、所得として換算されます。
寄付型クラウドファンディングの場合、一時所得として誰でも50万円の特別控除が受けられますが、購入型クラウドファンディングにかかる所得税は開業届を出しているかどうかで異なります。
開業届を出していない場合、所得税の基礎控除額は最大48万円(配偶者控除を受けている場合は103万円)です。
しかし、開業届を出していれば青色申告が可能になるため、最大で65万円の基礎控除が受けられます。
青色申告とは開業届を出している人のみが提出できる確定申告の一種です。
もしもフリーランスで働いていて、かつ配偶者控除を受けていないのでなければ、開業届を出した方が節税効果は高いと言えます。
節税方法③効果的なPRで費用対効果を高める
クラウドファンディングの節税方法を考えることはもちろん大事ですが、1番重要なのはなるべく多くの資金を集めてプロジェクトを成功させることです。
いくら経費や控除を増やして節税しても、元々集まった資金が少なければ意味がありません。
プロジェクト成功のための最短ルートをたどれるよう、まずは効果的なPRで多くの資金を集めましょう。
PRの方法には写真や文章などがありますが、最近特に注目を集めているのが動画によるPRです。
視覚障がい者を支援している『ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ』では、動画を用いたクラウドファンディングを実施。
動画アップ直後に支援金が大幅に伸び、最終的には2300万円以上の支援金を獲得しました。
多くの情報を伝えられる動画は、クラウドファンディングのPR方法としても非常に効果的であると言えます。
(参考:PR TIMES)
クラウドファンディングは正しい税金対策で効果を最大化しよう!
クラウドファンディングには
- 購入型クラウドファンディング
- 寄付型クラウドファンディング
- 投資型クラウドファンディング
上記の3種類があり、それぞれかかる税金や確定申告の方法が異なります。
場合によっては資金提供者と資金調達者それぞれ節税も可能なので、本記事を参考に正しく税金対策を進めてみてくださいね。
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