リスキリングに関する補助金があるのはご存じでしょうか?
DXを推進するために、国や地方自治体はリスキリングに関する補助金を用意しています。
今回は、リスキリングの補助金について、給付条件や申請方法を紹介します。
「人材育成の一環としてリスキリングを推進したいけど、予算的に厳しい」と感じている人材育成担当の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
リスキリングとは
リスキリング(Reskilling)とは、技術革新やビジネスの変化に対応するため、業務で必要とされる新しい知識やスキルを学ぶことです。
日本政府もリスキリングを推進しており、経済産業省は、リスキリングを以下のように定義しています。
”新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること”
出典:経済産業省
近年では、DX化のための新しいスキルの習得や、仕事の進め方が大きく変わると予想されている職業に就くためのスキルの習得を意味することが多くなっています。
リスキリングを進めるには、
- 目的を明確にする
- 研修プログラムや教材を選定する
- 従業員がモチベーションを保てる仕組み作りを行う
といった事前準備が必要です。
ただし、事前準備やリスキリングの実施にはコストがかかるため、事前に予算やリソースを確認しておく必要があります。
なお、リスキリングについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
リスキリングが注目される理由や国内外の動き、導入方法などを詳しく解説しています。
関連記事:人材育成担当者必見!リスキリングの意味やメリット、導入方法を解説
補助金①人材開発支援助成金(厚生労働省)
ここからは、リスキリングの補助金について紹介していきます。
最初に紹介する補助金は「人材開発支援助成金」です。
補助金の概要
「人材開発支援助成金」は、国(厚生労働省)による補助金です。
以下のように、全部で9つのコースがあります。
- 特定訓練コース
- 一般訓練コース
- 教育訓練休暇等付与コース
- 特別育成訓練コース
- 建設労働者認定コース
- 建設労働者技能コース
- 障害者職業能力開発コース
- 人への投資促進コース
- 事業展開等リスキリング支援コース(2022年12月に新設)
リスキリングへの補助という観点では、「人への投資コース」と「事業展開等リスキリング支援コース」を活用できます。
給付条件
「事業展開等リスキリング支援コース」の給付条件は以下の通りです。
- 訓練時間が10時間以上
- OFF-JT
- 新たな事業展開に必要なスキルの習得、または既存事業のDX化において必要なスキルの習得
他にも、事業主や労働者、経費などに関して、条件が細かく決まっています。
申請を検討する場合は、申し込み要項によく目を通しておいてください。
なお、助成率・助成額は以下の通りです。
経費助成率 | 賃金助成率(1人1時間) | 1事業所1年度あたりの助成限度額 | ||
---|---|---|---|---|
中小企業 | 大企業 | 中小企業 | 大企業 | 1億円 |
75% | 60% | 960円 | 480円 |
受講者1人あたりの経費助成限度額は以下の通りです。
10時間以上100時間未満 | 100時間以上200時間未満 | 200時間以上 | |||
---|---|---|---|---|---|
中小企業 | 大企業 | 中小企業 | 大企業 | 中小企業 | 大企業 |
30万円 | 20万円 | 40万円 | 25万円 | 50万円 | 30万円 |
申請方法
「事業展開等リスキリング支援コース」の場合、申請の手順は以下の通りです。
- 訓練開始日から起算して1ヶ月前までに必要書類を各都道府県の労働局に提出する
- 訓練を実施する
- 訓練終了日の翌日から起算して2ヶ月以内に必要書類を労働局に提出する
- 提出された書類を元に審査が行われ、補助金の支給が決定される
出典
人材開発支援助成金(厚生労働省)
人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)(厚生労働省)
補助金②教育訓練普及制度(厚生労働省)
2つ目の補助金は「教育訓練普及制度」です。
補助金の概要
「教育訓練普及制度」は、労働者の主体的なスキルアップやキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図る制度です。
厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・修了したときに、費用の一部が支給されます。
講座の中にはオンライン受講や夜間・土日受講ができるものもあり、働きながら受講できるのが特徴です。
教育訓練は講座やレベルに応じて、以下の3種類に分けられます。
- 専門実践教育訓練:労働者の中長期的キャリア形成に資する訓練
- 特定一般教育訓練:労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する訓練
- 一般教育訓練:その他の雇用の安定・就職の促進に資する訓練
給付条件
「教育訓練普及制度」の給付を受けるには、これまでの教育訓練普及制度の利用経験や、雇用保険の加入期間といった条件があります。
また、正社員だけでなく、アルバイトやパート、派遣職員も給付対象となります。
ハローワークで要件照会の申請をすると給付対象であるか確認できるので、気になる場合はハローワークに問い合わせてみましょう。
なお、訓練の種類と給付率、主な対象講座は以下の通りです。
教育訓練の種類 | 給付率・限度額 | 対象講座の例 |
---|---|---|
専門実践教育訓練 | 受講費用の70% (年間上限56万円・最長4年) |
業務上必要な資格の取得を目標とする講座 |
デジタル関係の講座 | ||
大学院・大学などの課程 | ||
専門学校の課程 | ||
特定一般教育訓練 | 受講費用の40%(上限20万円) | 業務上必要な資格の取得を目標とする講座 |
デジタル関係の講座 | ||
一般教育訓練 | 受講費用の20%(上限10万円) | 資格の取得を目標とする講座 |
大学院などの課程 |
申請方法
「教育訓練普及制度」の申請方法は、教育訓練の種類によって異なります。
専門実践教育訓練・特定一般教育訓練の場合
- ハローワークで訓練前キャリアコンサルティングを受ける
- 受講開始日の1ヶ月前までにハローワークで受給資格を確認する
- 講座を受講・修了する
- 修了日の翌日から起算して1ヶ月以内に、ハローワークに必要書類を提出する
一般教育訓練の場合
- 講座を受講・修了する
- 修了日の翌日から起算して1ヶ月以内に、ハローワークに必要書類を提出する
補助金③DXリスキリング助成金(東京都)
3つ目に紹介するのは、東京都の「DXリスキリング助成金」です。
補助金の概要
「DXリスキリング助成金」は、東京都内の中小企業の従業員に対して、DXに関する研修やeラーニングに必要な費用を補助する制度です。
ZOOMなどのオンライン会議システムを使用した訓練も給付対象に含まれるのが特徴。
「訓練時間が20時間以上」という条件もありますが、単一講座のみである必要はなく、複数の講座を組み合わせて訓練時間を計算することも可能です。
給付条件
申請できるのは、下記の資本金額・出資額、または常用従業員数に該当する中小企業や個人事業主です。
みなし大企業は対象外です。
業種区分 | 資本金額・出資額 | 常時従業員数 |
---|---|---|
小売業・飲食業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
なお、助成額は以下の通りです。
- 助成額:対象経費の3分の2
- 上限額:64万円
申請方法
申請の手順は以下の通りです。
- 交付申請書に必要事項を記入し、期日までに郵送で提出する
- 交付決定の通知が届いたら、訓練を実施して実施報告書を提出する
- 実績報告書をもとに給付額が決定される
- 助成金請求書を提出し、助成金を受け取る
補助金④各地方自治体の補助金
都道府県や市区町村の中には、独自でリスキリングに関する補助金を用意しているところがあります。
例えば、富山県では「とやま人材リスキリング補助金」という補助金が、2023年1月に新設されました。
具体的な内容は以下の通りです。
補助対象者 | 富山県内に主たる事業所を置く事業主 | |
---|---|---|
対象事業 | 富山県内の指定された教育訓練機関が提供する教育訓練を活用したリスキリング | |
補助内容 | 経費補助:75% | 補助限度額は1社あたり1年度100万円 |
賃金補助:1人1時間あたり960円 |
富山県のように、リスキリングに関する補助金が新設されている場合もあります。
自社のある自治体がリスキリングに関する補助金を用意していないか、ホームページや窓口などで確認してみましょう。
ただし、補助金によっては国や独立行政法人等の補助金と併用できない場合があるので注意してください。
補助金と一緒にBPOサービスを利用するのもおすすめ
ここまで、リスキリングに関する補助金を紹介してきました。
自社で活用できそうな補助金はあったでしょうか?
リスキリングを始める場合、補助金を検討すると同時に、研修プログラムを考えることも重要です。
しかし「普段の業務と並行して研修プログラムを考えるのは大変」と感じる方もいるでしょう。
そこでおすすめなのが「BPO(Business Process Outsourcing)」です。
BPOとはアウトソーシングの一種。
以下のような特徴があります。
- 専門性のある業務を長期で委託できる
- 業務設計から運用までの業務プロセスを一括して委託できる
BPOの中には、リスキリングなどの人材育成サービスを専門的に提供しているものもあります。
補助金と併用すれば、リスキリングの効果をより高められるでしょう。
なお、BPOについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてください。
関連記事:BPOサービスで人材育成してもらうメリット・デメリットを解説
まとめ:補助金を活用してリスキリングを進めよう
リスキリングの補助金を紹介しました。
最後に、紹介した補助金をまとめておきますね。
- 人材開発支援助成金(厚生労働省)
- 教育訓練給付制度(厚生労働省)
- DXリスキリング助成金(東京都)
- 各地方自治体の補助金
補助金と一緒にBPOを活用すれば、リスキリングの効果をより高められることが期待できます。
補助金とBPOを活用して、効果的にリスキリングを進めてくださいね。
とはいえ「どんなBPOに依頼すれば良いかわからない」と疑問に思った方もいるでしょう。
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