いまやマーケティングの重要な役割を担っている動画コンテンツです。
中でも「ライブ配信」は急成長を遂げています。
「インフルエンサー」と呼ばれる「個人の動画配信者」がアップした動画コンテンツが何百万回も再生されているケースも珍しくありません。
そして、個人が動画コンテンツでマネタイズに成功した事例も多いことから、続々とライブ配信をマーケティングに活用する企業が増えています。
そこで今回は、世の中のライブ配信事情やマーケティングでの活用例などを紹介します。
この時代の波に乗り遅れぬよう、あなたもライブ配信を活用したコンテンツマーケティングを始めてみませんか?
目次
ライブ配信とは
ライブ配信とは、テレビの生放送のように、リアルタイムで映像を配信することです。
以下の理由から配信者・視聴者双方のハードルが下がり、今や「生活の一部」といえるほど一般的になりました。
- 機材や配信プラットフォームの充実
- インターネット環境の充実
- 生活様式の変化による在宅時間の増加
ライブ配信をマーケティングに活用する企業も増えており、やり方次第では、ビジネスの拡大を狙えます。
ライブ配信の特徴
ライブ配信の特徴は以下のとおりです。
- 場所を問わず視聴できる
- 配信者と視聴者がコミュニケーションをとれる
- 鮮度の高い情報を発信できる
ライブ配信は、インターネット環境さえあれば場所を問わず視聴できます。
そのため、移動中はもちろん、開催場所から離れた地域からでも参加できます。
配信中はチャット機能などで配信者・視聴者双方のコミュニケーションがとれることも特徴です。
リアルタイムで視聴者の反応がわかるので、反応によって内容を変えるなど、視聴者に合わせた雰囲気作りができます。
また、配信者のスキルとインターネット環境さえあれば実施できるので、鮮度の高い情報を発信することも可能です。
人的リソースも少なくてすむので、慣れてくれば気軽に行えるでしょう。
オンデマンド配信との違い
ライブ配信と似ている配信方法で、オンデマンド配信があります。
オンデマンド配信とは、事前に録画・編集した動画を好きなときに見られる配信形式のことで、視聴者は好きな時間に視聴できます。
「生放送でない」という点がライブ配信との違いです。
ライブ配信をマーケティングに活用すべき理由
ライブ配信をマーケティングに活用すべき理由は、市場規模が拡大しているからです。
ここからは、ライブ配信の中でも、ECサイトとライブ配信を組み合わせた販売形態である「ライブコマース」に絞って、
- ライブコマース先進国の中国の市場動向
- 日本のライブコマースの現状と今後
について紹介します。
中国のライブコマースの市場動向
中国では2012年頃からライブコマースの利用が開始され、現在は世界トップの市場規模を誇っています。
そんな中国のライブコマースの市場規模は、2021年時点で以下の通りです。
年 | 市場規模(兆中国元) | 市場規模(兆円) ※1元=20円で換算(2023年6月時点) |
---|---|---|
2018 | 0.12 | 2.40 |
2019 | 0.42 | 8.40 |
2020 | 1.24 | 24.80 |
2021 | 2.27 | 45.44 |
2022(予想値) | 3.49 | 69.85 |
2023(予想値) | 4.92 | 98.48 |
出典:China’s live commerce opportunity insight report 2023
表の通り、中国のライブコマース市場は、2018年から2021年の4年間で約20倍に拡大しています。
今後も拡大傾向は続くと予想されており、2023年の予測値は、2018年の約40倍です。
ちなみに、2021年の日本のBtoC向け電子商取引の市場規模が20.7兆円です。
そのため、同じ2021年で比較すると、中国の市場規模は日本の約2倍となります。
中国でライブコマースが盛んな理由は、信頼できる商品が手に入りやすいことです。
かつては偽物が市場に多く出回っていたため、「偽物を買わないために、信頼できる人から購入する」という文化が生まれました。
また、人口が多く、一度大きなトレンドが生まれると加速度的に拡大しやすいという特徴も、ライブコマース拡大の一因といわれています。
出典:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました(経済産業省)
日本のライブコマースの現状と今後
日本のライブコマースの市場規模は、中国をはじめとする他国に比べると大きくありません。
しかし、今後は市場規模の拡大が予想されています。
実際に、新型コロナウイルス感染症によって人々の動きが減少した2020年夏頃から、ライブコマースを活用する小売企業は増加しています。
また、実店舗を中心に商品を購入してきた消費者層をターゲットに含めると、将来的な伸び代は大きいといえるでしょう。
そのため、今のうちからライブコマースをはじめとするライブ配信でマーケティングを展開しておけば、競合他社に対して優位になる可能性が高いといえます。
ライブ配信をマーケティングに活用できるシーン
ライブ配信をマーケティングに活用できる主な場面は以下のとおりです。
- ライブコマース
- セミナー
- プレスリリース
それぞれについて詳しく解説します。
ライブコマース
最もイメージしやすい活用シーンは、ライブ配信で商品を紹介し、ECサイトに誘導する「ライブコマース」でしょう。
視覚的な訴求に加え、視聴者とコミュニケーションを取りながら進められるのがメリット。
例えば、商品の使い方を質問したり、服の着心地を聞いてみたりなど、実店舗にいるかのような接客が可能です。
視聴者の不安や疑問を丁寧に取り除く工夫をすれば、契約につながる可能性は大きくなります。
ターゲットに合わせた緻密な戦略を練って、新しい客層の獲得につなげましょう。
関連記事:ライブコマースとは?おすすめのサービス8選や成功させるコツを紹介
セミナー
ライブ配信を活用できるシーンには「セミナー」も挙げられます。
セミナーイベントを開催して見込客を集めることで、自社商品の魅力や強みをアピールできますよ。
視覚的にわかりやすく伝えられるうえに質疑にも応えられるため、その場でのコミュニケーションから商談につなげられる可能性もあります。
プレスリリース
メディアに向けた情報発信である「プレスリリース」にも、ライブ配信を活用できます。
昔は新商品を発表する際、わざわざホテルなどの広い会場を押さえてから会見を行っていました。
しかし、ライブ配信で行えば会場を予約する必要はありませんし、参加するメディアも社内で視聴できます。
ただし、感触や匂いを伝えることはできないので、リアルとの使い分けに注意してください。
ライブ配信でマネタイズを実現する方法
ライブ配信でマネタイズを実現する方法は以下の4つです。
- 決済機能のあるプラットフォームと連携する
- 物販で商品を買ってもらう
- 投げ銭機能を利用する
- 前売りチケット制を導入する
それぞれについて詳しく解説します。
方法①決済機能のあるプラットフォームと連携する
便利な使い方として増えているのが、文章や画像などのコンテンツを投稿できるメディアプラットフォーム「note(ノート)」などを経由して動画コンテンツに遷移するという方法です。
クリエイター界隈で多く使われていたプラットフォームを一種のホームページやブログとしての立ち位置で利用して、そこからバックエンドへの導線を作っておくことでユーザーを取り込める可能性が広がりました。
noteの内容に共感した人たちが「応援したい」という気持ちになり、商品の紹介動画やライブ配信のアーカイブを閲覧してくれることもあるでしょう。
ライブ配信のサービスを提供しているプラットフォームについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:ライブ配信プラットフォームをおすすめ12選!動画制作のプロが比較
方法②物販で商品を買ってもらう
有形・無形を問わず、自社のサービスや商品を買ってもらうことで、マネタイズが可能です。
ライブ配信で商品・サービスの紹介を行う「ライブコマース」では、リアルタイムで商品・サービスの魅力や実際に利用してみた感想を伝えられます。
時代は変わっても「物販」が人々の安心や安全、ならびに信頼を勝ち取れる手法なのかもしれません。
なお、ライブコマースについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をチェックしてみてください。
関連記事:現在の日本のライブコマース市場規模とこれからを解説
方法③投げ銭機能を利用する
ライブ配信をマネタイズする上で、一番連想しやすいのが「投げ銭機能」ではないでしょうか?
投げ銭機能とは、配信者に対してチップとしてお金を送金できる機能のことです。
SNSやライブ配信アプリでは、投げ銭機能を活用してマネタイズしている個人・企業も少なくありません。
ユーザーにとっては身近な手法が取り入れられている方が「使いやすさ・わかりやすさ」にも繋がり、商品に興味や関心を持ってもらえる可能性が大きく広がります。
方法④前売りチケット制を導入する
「決済機能のあるプラットフォームとの連携」と似ていますが、前売りチケットを販売してライブ配信を開催する方法もあります。
前売りチケットの販売は、Peatixなどのイベントを作成できるサイトだけでなく、自社ECサイトからも可能です。
いずれの方法も、チケット購入時に登録してもらうメールアドレス宛に動画コンテンツのリンクを送るだけなので、簡単に行えるでしょう。
以上のように、ライブ配信をマネタイズする方法はさまざまです。
そんなライブ配信をどのようにビジネスに活用すべきかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:ライブ配信をビジネスに活用!新しい時代の生き残り戦略を紹介!
ライブ配信のマーケティングにおすすめのプラットフォーム
ここからは、ライブ配信のマーケティングにおすすめのプラットフォームを、無料・有料に分けて3つずつ紹介します。
ぜひプロモーションに使えそうなものを見つけてみてください。
無料のライブ配信ツール
今回紹介する無料のライブ配信ツールは以下の3つです。
- YouTube LIVE
費用を抑えながらライブ配信に挑戦したい場合におすすめです。
無料のライブ配信ツール①YouTube LIVE
出典:YouTube
「YouTube Live」は、大手動画配信サービスのYouTubeが提供しているライブ配信機能です。
視聴者・配信者ともに登録ユーザーの数は膨大なので、多くのターゲット層に届けやすいのがメリットです。
ただし、ある一定数の登録者数を確保しておかないと他の配信に埋もれてしまうので、「YouTube Live」の告知を別のSNSで告知するという方法をとらなければいけない可能性も出てきます。
あらかじめYouTubeで動画投稿をして、ファンを募っておきましょう。
無料のライブ配信ツール②Instagram
出典:Instagram
「Instagramライブ」は、「インスタ映え」という言葉もあるように商品やブランドの紹介などに非常に向いています。
コメント機能もあり双方のコミュニケーションもとりやすく、配信後にIGTVという機能で動画をアーカイブすることも可能です。
無料のライブ配信ツール③Facebook
出典:Facebook
Facebookでは、個人アカウント、Facebookページのどちらからでもライブ配信が可能です。
FacebookページはGoogleの検索にも出てくるので、ビジネスページとしてFacebookページを活用することをおすすめします。
また、Facebook Liveは動画コンテンツとしてアーカイブを残せるので、Facebookページで繋がっているユーザーが後からでも動画を見返せるように案内できます。
有料のライブ配信ツール
有料のライブ配信ツールは、以下の3つを紹介します。
- ULIZA
- Vimeo
- J-Stream Equipmedia
有料というだけあって、機能性に長けたものがたくさんあります。
より快適にライブ配信をしたい方はチェックしてみましょう。
有料のライブ配信ツール①ULIZA
出典:ULIZA
「ULIZA」は、日本発祥の動画配信プラットフォームです。
いくつかの大手企業も利用しているほどの信頼性があり、操作性や機能面の充実が人気の理由のひとつです。
基本的な機能のほか、受託開発や運用代行サービスなども利用できるので、ライブ配信初心者の方も始めやすくなっています。
有料のライブ配信ツール②Vimeo
出典:Vimeo
かつてはクリエイターたちに人気だったプラットフォームですが、最近ではビジネスシーンでの需要が一気に高まりました。
月額5,000円だとストレージ最大5TBまで、月額7,500円を選べば視聴者数無制限でストレージ最大7TBまで利用が可能です。
関連記事:Vimeoとは?無料プランの登録方法から特徴や使い方まで徹底解説!
有料のライブ配信ツール③J-Stream Equipmedia
「J-Stream Equipmedia」は国内最大級の動画プラットフォームで、使いやすさと充実した機能が人気です。
3ステップの作業で動画が配信できるという使いやすさは国内随一です。
社内報、研修、ECサイト、音楽イベントまで、多種多様なジャンルに対応しています。
ライブ配信の注意点と失敗例
ライブ配信を導入する際には、注意しなければならないことや落とし穴が潜んでいます。
あなたがライブ配信で失敗しないように、注意点といくつかの失敗例を紹介します。
ライブ配信の注意点
ライブ配信の注意点を5つ解説します。
注意点①インターネット環境
まずはインターネット環境を確認しておきましょう。
ネットワーク速度が遅いと遅延が大きくなり、視聴者は不快に感じてしまいます。
そのため、速度が速く、安定性のある固定回線を使いましょう。
また、スマホやモバイルWi-Fiルーターを使う場合は、データ容量や通信料にも注意が必要です。
セキュリティ面を考えると、公共のWi-Fiも利用しないようにしましょう。
注意点②マルチデバイス対応
PCやスマホ、タブレットなど、視聴者がライブ配信を見る環境はさまざまです。
そのため、視聴者がどのデバイスでもライブ配信を快適に見られるようにしておきましょう。
注意点③技術スタッフの確保
ライブ配信には、インターネット環境の他に機材や音響などの準備が必要です。
アプリの不具合や回線の切断、機材トラブルなどで不本意な結果に終わっているケースも少なくありません。
とっさの判断や応急処理というのは、それなりの技術力がないとカバーできない領域になってくるので、サポートしてくれる人材を必ず確保しておきましょう。
注意点④有料ライブ配信の料金体系
有料のライブ配信は、ケース別で料金体系が異なります。
以下のように、「通算配信時間+視聴者数」で計算するのが一般的です。
ケース |
料金相場 |
視聴者数:10〜20名 |
月額5〜10万円 |
視聴者数:100〜150名 |
月額25〜40万円 |
注意点⑤料金体系の特徴
ライブ配信の料金体系の特徴もしっかりと把握しておきましょう。
-
データ転送量と通信速度による算出
-
データ転送無制限や複数同時配信はビジネスモデルによってはコスパが良い
目先の料金体系だけを鵜呑みにして、コスト削減を理由に安さを追い求めてプランを決定しても、中長期的なビジネス戦略にマッチしているとは限りません。
目的に合ったサービスを選ぶことが、自社のサービスを最大限に伝えられることになり、顧客満足にも繋がります。
ライブ配信の失敗例
最後に、ライブ配信でよく見られる失敗例を紹介します。
配信者側の失敗例
配信者側の失敗例は、主に3つあります。
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URLとストリーム名の誤入力
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映像キャプチャーデバイスを用意していない
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エンコードのプロファイルやビットレートの相違
サーバーへアップロードする際、URLとストリーム名に間違いがあると配信ができません。
HDMI出力端子が備わっているPCは一般的ですが、基本的にHDMI入力端子はついていないため注意が必要です。
ライブ配信では、カメラで撮影した動画をエンコードするために、キャプチャボードを用意してPCに映像を取り込みましょう。
また、利用するライブ配信によって推奨する設定が異なります。
無理に高いビットレートで設定すると「閲覧できない」といったトラブルが発生しかねません。
エンコードのプロファイルやビットレートの相違がないか注意しましょう。
視聴者側の失敗例
視聴者側の主な失敗例は、インターネット環境の整備不足です。
ライブ配信の課題のひとつに、双方のインターネット環境の充実度があります。
配信者が環境を整えていても、受け手である視聴者側に十分な設備環境がないと、ライブ配信は失敗に終わってしまいます。
事前にインターネット環境の確認をしておきましょう。
配信者・視聴者共通の失敗例
配信者・視聴者ともにも落としがちなのが「OSやソフトウェアのバージョンが古いこと」です。
そもそもの問題として、OSやFlashなどのアップデートが行き届いていなかったことによる不具合は見落としやすいです。
配信者側と視聴者側の環境を最新の状態にしておきましょう。
まとめ:ライブ配信はターゲットを明確にすることが大事!
ライブ配信の効果的なマーケティング方法について紹介しました。
最後に要点をおさらいしておきましょう。
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ライブ配信をマネタイズ化する施策をうつ
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無料・有料のライブ配信ツールを知って活用する
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ライブ配信するときの注意点をおさえておく
以上のことを踏まえて、ターゲットを明確にしたビジネスモデルを打ち出し、各ライブ配信ツールの料金体系などを考慮した上で、マーケティングに繋げていきましょう。
なお、弊社サムシングファンでは、ライバーの育成・マネジメントを実施しています。
企業向けにライブ配信のサポートも実施しているので、お気軽にお問い合わせください。
また、ライブ配信の実施を検討されている方向けの無料マニュアルも用意しています。
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