人材育成は、企業の将来を左右する重要事項です。
多少予算をかけてでも、入念に取り組むべきでしょう。
しかし、「人材育成に十分な予算を充てる余裕がない」とお悩みの方も多いはず。
そこで今回は、人材育成に使える補助金を紹介します。
また、人材育成の補助金を使う際の注意点や、補助金活用に抵抗感がある場合の対処法も解説します。
「予算をかけてでも質の高い人材育成を行いたい」と考えている人材育成担当の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
人材育成の補助金①人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、業務に関する専門的な知識・技能を習得させるための訓練を実施した場合、事業主等に対して支払われる補助金です。
2023年1月現在、全部で9つのコースがあります。
その中で①、②、③は
- 職業能力開発推進者(社内で人材育成の取り組みを推進するキーパーソン)の選任
- 事業内職業能力開発訓練計画(自社の人材育成の基本計画)の作成
が必要です。
コース①特定訓練コース
正社員に対して
- 技能継承の訓練
- 労働生産性向上につながる訓練
- グローバル人材育成に関する訓練
などを行った際、OJTやOff-JTにかかった経費を補助します。
コース②一般訓練コース
正社員に対して研修を行った際に利用できる補助金です。
対象となる訓練は、特定訓練コース以外のもの。
OJTは対象外で、Off-JTのみ対象です。
コース③教育訓練休暇等付与コース
企業が有給教育訓練休暇等制度を導入し、従業員が当該休暇を取得して、訓練を受けた場合の補助金です。
コース④特別育成訓練コース
有期契約労働者等の人材育成に取り組んだ場合の補助金です。
以前はキャリアアップ助成金の人材育成コースとして実施されていました。
OJT、Off-JTともに補助対象です。
コース⑤人への投資促進コース
- デジタル人材を育成する訓練
- 労働者が自発的に取り組む訓練
- 定額制訓練(サブスクリプション型)
を実施した場合の補助金です。
コース⑥事業展開等リスキリング支援コース
令和4年12月に創設された新しいコースです。
新規事業の立ち上げなどに伴い、新しい分野で必要となる知識や技能を習得するための訓練を対象とした補助金です。
コース⑦建設労働者認定訓練コース
建設関連の認定職業訓練、または指導員訓練を実施した場合の補助金です。
コース⑧建設労働者技能実習コース
雇用する建設労働者に、建設関連の技能講習等を有給で受講させた場合の補助金です。
コース⑨障害者職業能力開発コース
障害者が働くうえで必要な能力を開発、向上させることが狙いの補助金です。
教育訓練を継続的に実施するための施設の設置・運営に対して補助があります。
人材育成の補助金②企業内人材育成推進助成金
2つ目に紹介するのは「企業内人材育成推進助成金」です。
企業内人材育成推進助成金の概要
企業内人材育成推進助成金とは、職業能力評価やキャリア・コンサルティングなどの人材育成制度を導入・実施し、継続的に人材育成に取り組む事業主等を対象とした補助金です。
特徴は、業種や企業規模を問わず受給できること。
そのため、人材育成の補助金をお探しの方は、1度は目を通しておくのがおすすめです。
対象となる人材育成制度と補助額
企業内人材育成推進助成金の交付対象となる人材育成制度と補助額は以下のとおりです。
制度導入助成額 (実施することが要件) |
実施・育成助成額 (1人あたりの額) |
|
---|---|---|
①教育訓練・職業能力評価制度 | 50万円(25万円) | 5万円(2.5万円) |
②キャリア・コンサルティング制度 | 30万円(15万円) | 5万円(2.5万円) |
③技能検定合格報奨金制度 | 20万円(10万円) | 5万円(2.5万円) |
※()は中小企業以外の助成額
①、②では、ジョブカードを導入する必要があります。
ジョブカードとは、自分のスキルや仕事に対する意識を整理するためのシートです。
導入には多少ハードルがありますが、従業員1人ひとりを客観的に評価できます。
その結果、従業員が人事評価や処遇に対して納得しやすくなり、仕事のモチベーションにつなげやすくなるという点がメリットです。
また、②に関しては、従業員をキャリアコンサルタントとして育成した場合、15万円(中小企業以外は7.5万円)の加算があります。
人材育成の補助金③都道府県や市区町村の助成金
都道府県や市区町村によっては、独自で人材育成の補助金を用意していることがあります。
例えば東京都の場合、中小企業を対象に「オンラインスキルアップ助成金」があります。
中小企業がeラーニングを使って行う研修に対して補助する制度です。
補助金の内容は、自治体によってさまざまです。
自社のある自治体で人材育成の補助金はないか、
- 自治体のホームページで確認する
- 自治体の窓口に問い合わせる
などして、1度確認してみましょう。
出典:オンラインスキルアップ助成金(TOKYOはたらくネット)
人材育成の補助金と一緒に活用しやすい「キャリアアップ助成金」
人材育成の補助金と一緒に活用しやすい補助金として「キャリアアップ助成金」があります。
その内容について紹介します。
キャリアアップ助成金の概要
キャリアアップ助成金とは、非正規雇用の労働者(有期雇用労働者)のキャリアアップを促進するための補助金です。
以下の2つの取り組みが補助の対象です。
- 正社員化:非正規雇用の労働者を正規雇用労働者に転換する
- 処遇改善支援:賃金規定の改定や社会保険の適用措置などを行う
特筆すべきは、正社員化の対象者が、以下のように定められている点です。
”支給対象事業主が実施した有期実習型訓練(人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)によるものに限る。)を受講し、修了した有期雇用労働者等”
引用:キャリアアップ助成金のご案内p15
つまり、人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)の訓練によってスキルアップしてから、キャリアアップ助成金を活用して正社員に転換することが可能なのです。
2つの補助金を併用することで獲得した人材を育成し、正社員として活躍してもらうことが可能。
人手不足などの課題の解決につながるかもしれません。
補助額
正社員化コースの場合、1人あたりの補助額は以下の通りです。
中小企業 | 大企業 | |
---|---|---|
①有期雇用→正規雇用 | 57万円(72万円) | 42万7,5000円(54万円) |
②無期雇用→正規雇用 | 28万5,000円(36万円) | 21万3,750円(27万円) |
※()は生産性の向上が認められた場合の額
※①、②合わせて、1年度1事業所あたりの支給申請上限人数は20人まで
「生産性」に関しては、規定の中で「生産性要件」というものが定められています。
詳しくは、下記のリンクをご覧ください。
出典:キャリアアップ助成金(厚労省)/キャリアアップ助成金のご案内(厚労省)
人材育成の補助金を利用するときの注意点
人材育成の補助金を利用する際は、以下の2点に注意しましょう。
- 手続きに時間がかかる
- 新しい制度の導入が必要な場合がある
それぞれについて、詳しく解説します。
手続きに時間がかかる
人材育成の補助金に限らず、補助金の申請から受給までには時間がかかります。
所定の手続きや書類準備が必要だからです。
そのため、スケジュールに余裕を持って進めましょう。
また、仮に申請が通っても、実際に給付されるまでの間は立て替えの必要があるので注意してください。
新しい制度の導入が必要な場合がある
補助金によっては、以下のような新しい制度を導入することが条件になっている場合があります。
- 人事制度や就業規則を新しくすること
- 時間外労働を減らすこと
- 賃金アップを図ること
しかし、1度新しい制度を導入すると、簡単には廃止できないので注意してください。
もし制度を廃止してしまうと、受給した補助金の返還が必要になることがあります。
また、補助金のために本来必要ない人事制度や就業規則を導入してしまうと、予期せぬ負担になりかねません。
信頼のおける研修会社や機関に1度相談し、理解したうえで導入を検討することをおすすめします。
人材育成の補助金活用が心配ならBPOに依頼するのもおすすめ
ここまで、人材育成に関する補助金について紹介しました。
「使えそうな補助金がある」と思った方も多いと思います。
しかし、
- 補助金申請に時間や労力を充てられるかわからない
- 自社に新しい制度が必要なのかわからない
- 申請が通るのかわからない
と、不安や悩みを抱えている方も多いでしょう。
そこでおすすめなのが「BPO(Business Process Outsourcing)」です。
BPOとは、アウトソーシングの一種です。
特徴は、委託先の自由度が高く、対象となる業務範囲が広いこと。
人材育成サービスを提供しているBPOもあるため、依頼すれば専門性の高い人材育成を行えます。
補助金を検討するのも良いですが、BPOへの依頼も検討してみてはいかがでしょうか?
なお、BPOについては以下の記事で解説しています。
BPOについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
関連記事:BPOサービスで人材育成してもらうメリット・デメリットを解説
まとめ:補助金を活用して人材育成を積極的に進めよう
人材育成に活用できる補助金として、以下の3つを紹介しました。
- 人材開発支援助成金
- 企業内人材育成推進助成金
- 都道府県や市区町村の助成金
人材育成は企業の今後を占ううえで重要なポイントなので、ある程度の予算をかけるのがおすすめです。
もし「予算が足りない」とお悩みの場合は、今回紹介した補助金を活用してみてください。
とはいえ、実際に補助金の導入を検討してみると「申請に手間と時間がかかりそう」「補助金のために新しい制度を導入しても大丈夫だろうか」と、不安になりませんか?
そのような方は、BPOへの委託を検討するのがおすすめです。
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