人材育成を行う目的はさまざまあり、新入社員のモチベーションを維持するためや新たな管理職の社員を育てるためなどが挙げられます。
ただ、会社によっては思うように人材育成ができず、良い効果が得られていないところもあるかもしれません。
もしそうであるならば、フレームワークを活用するのがおすすめです。
この記事では、人材育成に活用できる5つのフレームワークについて紹介しています。
気になる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
そもそもフレームワークとは?
そもそもフレームワークとは、日本語で「枠組み」のことを指します。
フレームワークで有名なものとしてはPDCAがあります。
さまざまビジネスで取り入れられているので、聞いたことがある方もいるでしょう。
ゼロから人材育成の流れを作るよりも、成功パターンをモデル化したフレームワークを取り入れた方が、時短かつ効率よく育成できます。
また、人材育成上の視点も広がることから育成担当者のスキルも高まりやすくなるという利点もあります。
【おすすめの関連記事】
人材育成とは?基本的な考え方や主な手法、重要なポイントを徹底解説
人材育成に使えるフレームワーク
ビジネスで使えるフレームワークはさまざまありますが、人材育成に使えるものとしては、以下のものが挙げられます。
- SMARTの法則
- カッツ理論(カッツ・モデル)
- カークパトリックの4段階評価法
- 70:20:10の法則
- HPI
フレームワークの内容は1つずつ異なるため、それぞれチェックして自社に合いそうなものを取り入れてみましょう。
フレームワーク①SMARTの法則
SMARTの法則とは、以下の5つの基準に沿って目標を決めていくフレームワークです。
- Specific
- Measurable
- Achievable
- Relevant
- Time-bound
SMARTの法則は、1981年にコンサルタントのジョージ・T・ドランが執筆した論文である「There’s a S.M.A.R.T. way to write management’s goals and objectives」をベースに提唱されました。
40年以上前に提唱されたものだからこそ、現在では古いと考える方もいます。
ただ、SMARTの法則を用いることで具体的な目標を立てやすくなるため、目標設定が苦手な方におすすめです。
1.Specific
Specificとは「具体性」のことです。
目標を設定する際、具体的に設定する必要があります。
あいまいな状態で目標を設定してしまうと、その後の行動も抽象的なものとなってしまい、思うような効果が得られにくいでしょう。
だからこそ、目標を立てる際は具体的に設定することが大切になります。
2.Measurable
Measurableは「計量性」という意味です。
わかりやすく言い換えると目標の達成度が測れるかどうかということであり、数字で測れるように設定することで、どのくらい目標に近づいているのか把握しやすくなります。
例えば管理職の目標の場合は、部下と最低30分週1回の面談を実施するといったことが挙げられます。
3.Achievable
Achievableは「達成可能性」という意味であり、SMARTの法則を用いて目標を設定する上で重要なポイントです。
無理に非現実な目標を設定しても、達成できない可能性が高くなってしまうため、あまりおすすめできません。
社員の能力や実績を踏まえつつ、頑張れば達成できそうな目標に設定することが大切です。
今の社員よりも少し上のレベルの目標を設定することにより、モチベーションの向上や成長につなげやすくなります。
4.Relevant
Relevantは「関連性」という意味で、目標の達成が利益につながるかどうかを考えて目標を決めます。
目標と利益がつながることにより、モチベーションの向上や維持につながります。
具体的には、「達成すればボーナスが多くもらえる」や「昇給する」といったことが挙げられるでしょう。
5.Time-bound
最後のTime-boundは「期限」であり、目標を達成するための期限を決めます。
どれだけ目標が具体的なものであっても、期間が設定されていないと段々とモチベーションが下がる恐れがあります。
また、目標達成が先延ばしになってしまう可能性もあるため、必ず期限も設定しましょう。
フレームワーク②カッツ理論
カッツ理論もしくはカッツ・モデルとは、アメリカの経済学者であるロバート・L・カッツ氏が1950年代に提唱したフレームワークです。
カッツ理論においては、以下の3つのスキルがあります。
- テクニカルスキル
- ヒューマンスキル
- コンセプチュアルスキル
また、以下の職位層もあります。
- ロワーマネジメント(リーダーといった下級の管理職)
- ミドルマネジメント(課長や部長などの中間の管理職)
- トップマネジメント(社長や役員などの経営職層)
1.テクニカルスキル
テクニカルスキルは、業務遂行能力や定型業務能力、定型業務能力などとも呼ばれています。
主なものとしては、PCを活用する能力や語学力、情報収集力などが挙げられます。
テクニカルスキルは現場に近い立場の管理職であるロワーマネジメントにおいて、重要な能力です。
2.ヒューマンスキル
ヒューマンスキルは社内外のさまざまな関係者とスムーズな意思疎通をはかり、良好な人間関係を築くスキルのことです。
主なものとしては、コミュニケーション力やヒアリング力、交渉力などが挙げられます。
ヒューマンスキルは組織の中で目標を達成することを目指す上で、欠かせないスキルです。
そのことから、どの役職であっても習得して損することはありません。
3.コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルは概念化能力とも訳されています。
具体的には、ロジカルシンキング・ラテラルシンキング・クリティカルシンキングなどが挙げられます。
コンセプチュアルスキルが長けていると、ある出来事から多くの学びを得やすくなったり、一見関係のなさそうな事柄間の関連性や共通点を見つけやすくなったりするでしょう。
フレームワーク③カークパトリックの4段階評価法
カークパトリックの4段階評価法あるいはカークパトリックモデルとは、アメリカの経済学者であるカークパトリックが提唱したフレームワークです。
以下の4つの段階に分けて教育の効果を測定します。
- Reaction
- Learning
- Behavior
- Business Results
カークパトリックの4段階評価法は、人材育成の成果と業績との関連を数値で出すことが可能です。
そのことから、費用対効果がどのようなものなのかきちんと知りたい方におすすめです。
1.Reaction
Reactionでは、人材育成の対象者の満足度を測ります。
例えば研修を行う場合、研修後に受講者に対してアンケートやヒアリングを行って満足度を測り、その結果をベースにして研修内容を評価します。
この方法はポピュラーなものであるため、すでに取り入れているところも多いでしょう。
2.Learning
Learningでは、理解度を測ります。
筆記試験やレポートなどを行い、人材育成の対象者がきちんと教えてもらったスキルや知識を習得できているのか確認します。
現在ではeラーニングやアンケートシステムが活用されており、気軽に対象者の理解度を調べることが可能です。
3.Behavior
Behaviorでは、人材育成後の行動がどう変わったのかを測ります。
人材育成でさまざまなことを学んでも、それを活かしきれていなければ思うような効果が得られていない証拠となります。
そのため、きちんと人材育成の対象者が学んだことを活用しているのかチェックしましょう。
具体的なものとしては、研修後に実践期間を設定した上で、受講者や上司から実践度合いをヒアリングするといったことが挙げられます。
ヒアリングすることにより、人材育成後の行動がどう変わったのか確認しやすくなります。
4.Business Results
最後のBusiness Resultsは、業績の向上度を測ります。
カークパトリックの4段階評価法において最も高度な評価方法であり、人材育成の対象者が企業の業績にどのような影響をもたらしたのかチェックします。
売上高といった数値化できるもので具体的に測定しますが、簡単にできるものではないのでここまでしない企業も多いです。
ただ、費用対効果の高い人材育成を行う上では重要なので、できる限りBusiness Resultsまで行うことをおすすめします。
フレームワーク④70:20:10の法則
70:20:10の法則はアメリカのミロンガー社が提唱した考え方であり、リーダーの成長に必要な法則のことです。
ミロンガー社は、さまざまな経営者を対象に何がリーダーとしての成長に役に立ったのかを調査しました。
その結果として出たのが以下のとおりです。
- 経験:70%
- 他者からの薫陶:20%
- 研修:10%
まとめると、仕事経験があって他者との関わり合いがあり、最後に知識を吸収するための研修が役に立つということになります。
この法則はリーダーシップの習得を目指す人材育成で重要になるため、このことを踏まえた上で教育内容を計画していくと良いでしょう。
フレームワーク⑤HPI
HPIはHuman Performance Improvementの略称です。
人材の現状から組織のあるべき姿を洗い出し、そこから改善することに重点を置いているフレームワークです。
人材と経営計画を組み合わせていることが特徴で、本来あるべき人材の姿と現状とのギャップが何なのかをハッキリさせて、根本となっている原因分析を行います。
具体的にはトレーニングやコーチング、パフォーマンスを向上させるための技術の導入などが挙げられます。
HPIの目標は個人やチームが最高のパフォーマンスを発揮し、目標を達成できるようにすることであり、以下のステップで進めましょう。
- パフォーマンスを分析して現状とのギャップを洗い出す
- 現状とのギャップがなぜ生じるのか、その原因を見つける
- ②で分析した原因を解決するための施策を決める
- 施策を実行する
- 施策後の結果を評価する
HPIに関しては、リーダーシップやコミュニケーションなどの人材育成で役立ちます。
まとめ:人材育成はフレームワークを活用しよう!
今回は、人材育成に活用できる5つのフレームワークについて紹介しました。
人材育成で活用できるフレームワークはさまざまあり、SMARTの法則やHPIなどが挙げられます。
もしこれから人材育成を行うのであれば、各フレームワークをチェックして、取り入れられそうなものと使ってみると良いでしょう。
なお、弊社サムシングファンでは人材育成に活用できるDOOONUTを提供しています。
気になる方は、下記バナーよりご確認ください。