Amazonに「スポンサーブランド動画広告」という動画広告を出稿できることをご存知ですか?
2020年12月に始まった広告で、続々と利用者が増えています。
今回はAmazonスポンサーブランド動画広告について、規格や出稿の手順、制作のポイントを解説します。
「Amazonに動画広告を出したい」「Amazonで売り上げを伸ばしたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
Amazonの「スポンサーブランド動画広告」とは
スポンサーブランド動画広告とは、Amazonに掲載できる動画広告のことです。
Amazonにブランド登録が完了しているブランドオーナーであれば、審査に合格することで誰でも利用できます。
スポンサーブランド動画広告が表示されるのは、Amazonの検索結果一覧と商品詳細ページです。
ユーザーが動画から商品をクリックすると、広告作成時に設定したリンク先に移動します。
動画の尺は6〜45秒です。
クリックごとに課金される方式なので、広告が表示されるだけであれば費用はかかりません。
Amazonスポンサーブランド動画広告に出稿するメリット
Amazonスポンサーブランド動画広告のメリットは以下の2点です。
- 目立ちやすい
- コンバージョン率が上がりやすい
それぞれについて詳しく解説します。
メリット①目立ちやすい
スポンサーブランド動画広告が特に目立つのは、検索結果一覧の画面です。
静止画ばかりの中で唯一動きがあるうえに画面上部に表示されるため、ひときわ目を引くのが特徴です。
特にスマートフォンやアプリで見ると画面占有率が高く、非常に目立ちます。
Amazonによると、Amazonユーザーの75%は検索によって商品を見つけます。
そのため、検索結果一覧に表示され、かつ目立ちやすいことは、出品者にとって大きなメリットといえるでしょう。
参考:オンラインセミナーに参加し、最新のスポンサー広告レポート機能について学ぶ(Amazon ads)
メリット②コンバージョン率が上がりやすい
スポンサーブランド動画広告は、通常のキーワード広告に比べてコンバージョン率が高くなる傾向があります。
検索結果一覧に表示されて目立ちやすいこと、動画によって視覚的に訴求できることが理由です。
コンバージョン率が高いと、次のようなメリットもあります。
Amazonの検索エンジンは、購入率が高く購入スピードが速い商品が上位表示される仕組みとなっています。
つまり、スポンサーブランド動画広告によってコンバージョン率が上がることで、商品が検索上位に表示されやすくなるのです。
そのため、スポンサーブランド動画広告は、Amazonでのブランディングにおいても強力な武器となるでしょう。
関連記事:動画広告の効果を徹底解説!種類別のメリットや成功事例も紹介
Amazonスポンサーブランド動画広告を出すための準備
Amazonスポンサーブランド動画広告を出稿するには、以下の準備が必要です。
- ブランド登録
- Amazonストア作成
それぞれについて詳しく解説します。
ブランド登録
Amazonスポンサーブランド動画広告の出稿には、商標登録をした自社ブランドでのブランド登録が必須です。
以下のページから手続きを進められるので、Amazonセラーセントラルにログインし、画面に表示される指示に従って手続きを進めてください。
なお、ブランド登録の前には、商標を取得しておく必要があります。
商標の取得には少し時間がかかるので注意してください。
申請後、平均で半年ほどかかります。
また、出願料や登録料といった費用も必要です。
商標を登録することで、自社ブランドを守る・Amazonストアを構築してブランディングを強化できるというメリットがあります。
もちろん、スポンサーブランド動画広告によって商品の認知度も上がります。
参考:初めてだったらここを読む〜商標登録のいろは〜(特許庁)
Amazonストア作成
必須ではありませんが、Amazonストアの作成もしておきましょう。
Amazonストアを作成しておくと「自社のブランドや商品をPRできる」というメリットがあります。
ストアの作成は、セラーセントラルの「ストア」からできます。
登録したブランドの数だけストアを作成できるので、ブランドごとに作っておくのがおすすめです。
Amazonスポンサーブランド動画広告の設定手順
ブランド登録とAmazonストアの作成が終わったら、以下の手順でスポンサーブランド動画広告の設定を行います。
- キャンペーンの作成
- 広告フォーマットの選択
- 広告クリエイティブの指定
- ターゲティングを設定
それぞれについて詳しく解説します。
手順①キャンペーンの作成
まずはキャンペーンを作成します。
具体的な手順は以下の通りです。
- スポンサー広告のキャンペーン管理画面で「キャンペーンを作成する」をクリックする
- キャンペーンの種類の中から「スポンサーブランド広告」を選択する
- キャンペーン名・開始日・予算を入力し、自動入札利用の有無を設定する
③では、「ポートフォリオ」という項目があります。
ポートフォリオとは、スポンサーブランド広告とスポンサープロダクト広告をグループ化し、ビジネス構造を反映したコレクションにまとめられる機能です。
ポートフォリオを使用している場合は「ポートフォリオ」を、使用していなければ「ポートフォリオがありません」を選択しましょう。
また「予算」は、キャンペーンの1日あたりの予算で、最低額は100円です。
終了日を設定し、「1日単位」を「ライフタイム」に変更することで、キャンペーン期間中の予算を入力することもできます。
手順②広告フォーマットの選択
次に、以下の手順で広告フォーマットを選択します。
- 広告グループ名を決める
- 広告フォーマットの中から「動画」を選択する
- 広告が表示されるページについて「Amazon内のストア(サブページを含む)」か「商品詳細ページ」のいずれかを選択する
③で広告の表示先を「Amazon内のストア(サブページを含む)」に設定した場合、自社のAmazonストアをリンク先に設定しましょう。
手順③広告のクリエイティブの指定
次に、広告のクリエイティブを指定します。
以下の内容を設定し、「審査に申請」をクリックすれば完了です。
- 広告名
- ブランド名:30文字以内
- ロゴ画像:400×400ピクセル以上、1MB以下、PNGまたはJPG
- 見出し:35文字以内
- 動画:規格をすべて満たす(次のトピックで解説)
- 商品
ロゴ画像は、画面全体を占めているか、白または透明の背景を使用している必要があります。
また、リンク先が商品詳細ページの場合は、広告名と動画を追加するだけとなります。
なお、設定したクリエイティブは、広告作成後に変更することも可能です。
広告画面の「クリエイティブを管理する」から行えます。
手順④ターゲティングを設定
最後にターゲティングを設定します。
Amazonスポンサーブランド動画広告には、「キーワードターゲティング」と「商品ターゲティング」の2種類があります。
キーワードターゲティング
キーワードターゲティングとは、関連キーワードを設定することで、そのキーワードで検索されたときの検索結果画面や、そのキーワードに関係する商品のページに広告を出すターゲティング方法です。
入札設定は「自動入札オン」「推奨入札額」がおすすめ。
Amazon内に蓄積されている大量のデータから、入札額が自動調整されるためです。
また、任意で除外するキーワードも設定できます。
商品ターゲティング
商品ターゲティングとは、特定の商品やカテゴリー、ブランドなどを指定するターゲティング方法です。
こちらも入札設定は「自動入札オン」「推奨入札額」がおすすめです。
表示先を特定の商品に設定する場合も「推奨」を選択して、Amazonが推奨する商品の中から選ぶと良いでしょう。
また、任意で除外する商品も設定できます。
Amazonスポンサーブランド動画広告の規格
Amazonスポンサーブランド動画広告の規定は以下の通りです。
動画再生時間 | 6〜45秒(20秒以下を強くおすすめします) |
動画のサイズ | 1920×1080ピクセル、1280×720ピクセル、または3840×2160ピクセル |
ファイルサイズ | 500MB以下 |
ファイル形式 | .MP4または.MOV |
アスペクト比 | 16:9(正方形ピクセル)のみ |
動画コーデック | H.264またはH.265 |
動画のプロファイル | メインまたはベースライン |
フレームレート | 23.976fps、23.98fps、24fps、25fps、29.97fps、29.98fps、または30fps |
動画のビットレート | 最小1Mbps(4Mbps以上を推奨) |
動画スキャンの種類 | プログレッシブ |
音声コーデック | PCM、AAC、またはMP3 |
音声形式 | ステレオまたはモノラル |
音声ビットレート | 最小96kbps |
音声サンプルレート | 最小44.1kHz |
出典:スポンサーブランド動画広告クリエイティブ(Amazon ads)
音声コーデックは、PCMより容量の小さいAACがおすすめです。
無音で作る場合はPCMでも問題ありませんが、音声を入れるならAACにしましょう。
現時点で使えそうな動画があれば、1度アップロードして要件を満たしているか確認することもできます。
仮に条件を満たしていなくてもエラーメッセージが表示されるので、それに合わせて修正しましょう。
Amazonスポンサーブランド動画広告を制作するときのポイント
ここからは、Amazonのスポンサーブランド動画広告を制作するときのポイントとして、以下の5点を解説します。
- 1番伝えたいことは最初に入れる
- 動画の長さは15〜30秒がおすすめ
- ミュートでもわかる内容にする
- ループ再生でも自然な流れにする
- スマホとパソコンの両方でチェックしておく
YouTubeの動画広告の制作と同じような内容もありますが、Amazonならではのポイントもあります。
ポイント①1番伝えたいことは最初に入れる
YouTubeなどの動画広告と同じく、1番伝えたいことは最初に入れましょう。
動画広告では、最初の2〜3秒でいかにユーザーの興味を引けるかが重要です。
「興味ない」と思われたら、すぐにスキップされてしまいますからね。
実際、YouTubeで動画広告が流れてきたときに、興味を持てずにスキップボタンをクリックしたことのある方も多いでしょう。
動画広告をより長く見てもらいユーザーに興味を持ってもらうためにも、最初の演出に力を入れましょう。
ポイント②動画の長さは15〜30秒
規定では6〜45秒となっていますが、動画広告の長さは15〜30秒がおすすめです。
ユーザーの目的はあくまで”買い物”であり、動画を見ることではありません。
長いと飽きられてしまい、商品の購入につながりにくくなります。
伝えたいメッセージを絞って、シンプルな動画広告を制作しましょう。
ポイント③ミュートでもわかる内容にする
Amazonスポンサーブランド動画広告は、ミュートで再生され始めます。
そのため、テロップを入れてミュートでもわかるようにしておきましょう。
音声はスピーカーマークをクリックすることで流れます。
ポイント④ループ再生でも自然な流れにする
Amazonスポンサーブランド動画広告はループ再生される仕様になっています。
そのため、最初と最後が自然とつながるような構成にしておきましょう。
不自然な流れだと、ユーザーに「この商品は大丈夫か?」と不信感を与えてしまいます。
ループ再生を意識して制作し、ユーザーの興味を引けるようにしましょう。
ポイント⑤スマホとパソコンの両方でチェックしておく
ユーザーの多くはスマホでAmazonを見ています。
そのため、動画広告を作ったらスマホとパソコンの両方で見え方をチェックしておきましょう。
特に、スマホでの見え方は注意が必要です。
スマホはパソコンに比べると画面が小さくすぐにスクロールできるので、「見にくい」と感じるとすぐに飛ばされてしまいます。
スマホでもパソコンでも見やすい、シンプルな演出を意識しましょう。
Amazonスポンサーブランド動画広告を制作するときの注意点
Amazonスポンサーブランド動画広告を制作するときの注意点は以下の6つです。
- カスタマーレビューを入れない
- 緊急性の高い言葉を使わない
- 動画の最初や最後に黒や空のフレームを入れない
- テキストのガイドラインを守る
- Amazonのブランディング要素は入れない
- 途中で切れてしまう動画は使わない
それぞれの注意点について、詳しく解説します。
これらを守らないと審査に落ちてしまう場合があるので注意してください。
注意点①カスタマーレビューを入れない
Amazonでは、商品ページに購入したお客さんの感想、いわゆるカスタマーレビューが表示されます。
このカスタマーレビューをスポンサーブランド動画広告に入れることは禁止されています。
また、星の数を掲載することも禁止です。
あくまで商品の特徴を伝えましょう。
注意点②緊急性の高い言葉を使わない
「期間限定」や「数量限定」といった購入を急かすような言葉の使用も禁止されています。
商品のPRではなく、ユーザーのクリック・購入への誘導が目的と見なされてしまうからです。
セールや割引に関する言葉も、同様に禁止されています。
注意点③動画の最初や最後に黒や空のフレームを入れない
動画の最初や最後に、画面が真っ黒・真っ白になる映像を見たことはありますか?
Amazonのスポンサーブランド動画広告でこのような黒フレーム・空フレームが入っていると、審査に通りません。
また、動画広告では最初の2〜3秒でユーザーの興味を引くことが重要です。
動画の最初が黒フレーム・空フレームだと、それだけで見るユーザーは減ってしまいます。
ブランディング効果を高めるためにも、黒フレーム・空フレームは日頃から使わないようにしましょう。
注意点④テキストのガイドラインを守る
Amazonのスポンサーブランド動画広告には、テキストのガイドラインも定められています。
例えば、テキストサイズが大きすぎて画面からはみ出していると審査に通りません。
一方で、小さすぎると見えませんよね。
そのため、テキストサイズの目安は30ポイント以上といわれています。
動画広告は文字で伝えることより、映像で伝えることがメインです。
テキストはあくまで映像のサポートと意識しておきましょう。
注意点⑤Amazonのブランディング要素は入れない
Amazonのブランディングになりうるため、Amazonのロゴやサービスを入れることも禁止されています。
ついやってしまうのが、Amazonで販売しているからといってAmazonのロゴを使ってしまうことです。
シンプルに、商品の魅力だけを紹介しましょう。
注意点⑥途中で切れてしまう動画は使わない
もし45秒より長い動画を使用した場合は、途中でカットされてしまいます。
途中で切れてしまう動画は、ユーザーの満足度低下につながります。
必ずAmazonの規格に合わせて、6〜45秒で収まる動画を制作しましょう。
参考にしたい!Amazonスポンサーブランド動画広告の事例
最後に、Amazonスポンサーブランド動画広告の事例を2つ紹介します。
事例①家電ブランド:費用対効果が3.3倍に増加
中国に拠点を置くある家電ブランドは、既存の広告を新しいフォーマットで補完したいと考えていました。
そこで、Amazonで使用できる複数の広告のテストを開始します。
各フォーマットの広告を見守っていたところ、スポンサーブランド動画広告が
- CPC(クリック単価)
- CTR(クリックスルー率)
- CVR(コンバージョン率)
- ACOS(売上高広告費比率)
などの指標で、他の広告より高いパフォーマンスを示しました。
それからは、スポンサーブランド動画広告にかける予算を増加。
最終的には、同社のベンチマークと比較してROAS(広告費用対効果)が3.3倍に増加しました。
出典:新境地を開く:スポンサーブランド動画広告の導入事例(Amazon ads)
事例②オーディオ製品:年間300万件以上のインプレッションが発生
オーディオ製品を提供するスウェーデンの企業は、複数の国で事業を拡大し、売上を伸ばすのに役立つソリューションに広告予算を集中させたいと考えていました。
そこで、まずはイギリスで、スポンサープロダクト広告とスポンサーブランド広告によるキャンペーンを作成。
2ヶ月間の実施で良好な結果を得て、国際市場に打って出ます。
市場を広げる際、まずはスポンサープロダクト広告を出稿して、パフォーマンスの高いキーワードを把握しました。
その後、スポンサーブランド広告で、ストアへの集客を強化。
コンバージョンの高いキーワードを使用したおかげで
- 年間インプレッションが300万件以上
- ACOS(売上高広告費比率)が前年比で10%減少
という結果になりました。
出典:BrandvaulがUrbanistaブランド向けにスポンサー広告を使用している方法
まとめ:Amazonスポンサーブランド動画広告でブランディングを強化しよう
Amazonスポンサーブランド動画広告について解説しました。
最後に、Amazonスポンサーブランド動画広告のメリットをまとめておきますね。
<Amazonスポンサーブランド動画広告のメリット>
- 目立ちやすい
- コンバージョン率が上がりやすい
スポンサーブランド動画広告は、Amazonでのブランディングにおいて非常に強力なツールです。
うまく活用して、Amazonでのビジネス拡大に役立ててくださいね。
とはいえ、「自社に動画制作のノウハウがないからスポンサーブランド動画広告を作れない」とお悩みの方も多いでしょう。
弊社サムシングファンでは、動画を”活用する”という視点で動画を制作し、みなさまのマーケティングをサポートしています。
中でも特徴的なのは、「動画DX®︎」を提唱し、現在抱えている課題を動画を使って解消する取り組みを実施している点です。
以下の資料は、動画DX®︎についてまとめた資料です。
動画マーケティングのコツを知りたい方におすすめなので、ぜひ活用してください。